商業施設新聞
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No.778

コロナ禍でもホテルが増え続けている


高橋直也

2020/10/20

 新型コロナウイルスの影響で、苦境に立たされているホテル業界。Go To トラベルにより、ホテルによっては回復も見られるが、訪日客がいつ戻るかは不透明。東京オリンピックに向けてホテルの開業ラッシュが進んだが、その多くは訪日客が増加していることを前提に開発された。そのため、国内需要の喚起も重要だが、訪日客が戻りきらない限り、ホテル業界の完全な回復は難しい。残念ながら当面、ホテル業界は苦戦を強いられそうだ。そして状況をさらに難しくしそうなのが、ホテルが増え続けていることだ。

 事実、コロナ禍と言われている2020年春以降にも「JWマリオット・ホテル奈良」「エースホテル京都」などが開業した。他にも多くの施設が開業している。大変な時期だが、施設が完成しており、オープンしたということだろう。ただでさえ厳しいのに新規案件ができれば、人が分散する。開業を延期し続けているホテルもあるが、感染対策を施したうえで、開業するホテルが多い。すでに着工した(着工してしまった)計画は多く、厳しい状況ながらも21年末ごろまではホテルの開業が続くと言われている。

 21年末ごろならコロナ禍も収束している可能性もあるが、実はコロナ禍以前から21年までホテルが増えることはマーケットの課題として指摘されていた。つまり、「ホテルの供給過剰問題」である。振り返ると、ホテルの開発ラッシュにより19年ごろから地域によってはホテルの過剰が進み、稼働率の低下を防ぐため、ADR(平均客室単価)を下げるホテルも散見された。つまり、すでにホテル業界は少しずつ苦戦しつつあった。そこに新型コロナウイルスの拡大である。コロナ終息後も地域によっては順風満帆とは言えない状況が続くかもしれない。

「由縁別邸 代田」の客室
「由縁別邸 代田」の客室
 人手不足もコロナ収束後の課題だ。ただ、昨今の非接触などの流れもあって、チェックイン/アウト業務などはオートメーション化が進みつつある。ただ、人手不足が特に目立ったハウスキーピングなどを抜本的に解決するロボット、システムなどは聞かない。余談になるが、筆者は人手不足の解消のためにベッドメイキングロボを開発するべきでは、と思っていたが、実際はかなり難しいようだ。ロボット関連の事業者を取材する機会が増えて理解したのだが、ロボットが得意なのは単純作業。例えば掃除(床のものを吸い取る、移動する)、モノを運ぶ(A地点から特定の場所に移動する)など特定の作業に限られている。一方で、ベッドメイクは作業の手順が多い。大まかな流れとして(1)客室の前に移動、(2)客室の中に入る、(3)使用済みのシーツを取る、(4)使用済みシーツをかごなどに入れる、(5)新しいシーツを取り出す、(6)新しいシーツを広げる、(7)新しいシーツをベッドに当てる……以下略と、やるべきことが多い。まずはチェックイン/アウトなどできるところからオートメーション化するのが現実的なようだ。

 難しいホテル業界だが、今年も素晴らしい施設がオープンしている。例えば9月に東京・下北沢エリアに開業した温泉旅館「由縁別邸 代田」は和の趣が素晴らしく、ぜひ利用したい。10月20日号本紙で詳述するが、下北沢エリアの観光需要を創出するかもしれない。当然、以前からある宿泊施設も素晴らしいものは多い。この秋は旅行に行かねば。
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