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第135回

国内主要自動車メーカー、2015年販売台数は2%増の2555万台強


新型「ロードスター」が貢献し、マツダが唯一2桁の高成長

2016/2/26

 国内主要自動車メーカー7社(トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、マツダ、三菱自、スバル)の2015年暦年ベースでの販売台数が出揃った。7社合計の世界販売台数は、前年比2.1%増の2555万1000台と、前年に引き続きプラス成長を堅持した。各社の販売台数を見ると、マツダが唯一2桁成長となる同11.1%増の153万9000台と大幅なプラス成長を記録。一方で、マイナス成長となった三菱自も、同0.6%減とほぼ前年並みに踏みとどまっている。



 トヨタの販売動向を見ると、北米市場においてプラス成長となったものの、日本、欧州、アジア地域などでは軒並み苦戦を強いられた。国内では「シエンタ」「アルファード」「デルファイア」などの新型車が販売を伸ばしたものの、軽自動車を中心とした小型車が低迷したことを受け、販売台数は前年比3.6%減の149万8000台となった。軽自動車を含めたシェアは、前年から1.7ポイント増の29.7%としている。なお15年12月から販売を開始した新型プリウスについては、当初見込みの8倍となる月間10万台の受注を獲得するなど、好調な立ち上がりを見せている。世界販売は、同0.5%増の918万9000台。

 日産は、日本、ロシア、その他地域(アジア・オセアニア、中南米、中東)などで販売減となったものの、北米、欧州、中国、アジアの諸地域においては好調な販売となった。主力市場である北米では、1月に開催された北米国際ショーにおいて、スポーツクーペ「Q60」を披露。また、ダットサン・ブランドでも新車攻勢を続けており、さらなる拡販を狙う。
 EVのフラッグシップモデルである「日産リーフ」は、新モデル(30kWhのバッテリー搭載)の販売を15年11月から米国で開始。12月には、BMWと全米19州にわたる120カ所で公共の急速充電器を拡充するために協力すると発表しており、全米でのEV普及に弾みがつくと期待される。

 ホンダの15年暦年における販売台数は、前年比1.9%増の458万台となった。中国においてはGreizの新車投入効果、XR-VやVezelなどが販売を伸ばし、インドネシアやマレーシアなどではHR-Vの新車投入効果により伸長した。一方、国内販売は4年ぶりのマイナス成長で、同14.4%減の72万6900台。内訳は、登録車が同14.6%減の38万1240台、届出車が同14.1%減の34万5660台。
 一方、北米で10代目となる新型シビックシリーズの第1弾として15年11月に発売した「シビックセダン」が、北米国際自動車ショーで「North America Car of the Year」を受賞している。パワートレインは、北米向けホンダ車として初となる1.5L直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンと、2.0L直列4気筒DOHC i-VTECエンジンの2種類を設定。さらに安全運転支援システム「Honda SENSING」を採用するなど、コンパクトクラスに新たな価値を提供。今後の拡販が期待される。

 スズキの15年暦年の販売台数は、前年比1.7%増の277万2000台。日本、中国、インドネシアで減少したものの、インド、パキスタン、欧州などで販売を伸ばした。国内販売を見ると、軽四輪車は、同21.1%減の55万9700台と4年ぶりのマイナス成長。登録車は、新型ソリオを投入した9月以降は増加したものの、全体としては前年を下回り、同2.1%減の7万6700台。これにより、軽四輪車および登録車の合計は19.2%減の63万6400台となった。

 マツダの15年暦年の販売台数は、前年比11.1%増の153万9000台と、国内自動車メーカーで唯一2桁の高成長を記録している。15年4~12月期においては、新型CX-3および新型ロードスターのグローバルでの台数貢献と、Mazda6、CX-5の商品改良モデルが好調な販売を継続したことで、グローバル販売台数は14.2%増の114万5000台と、第3四半期累計として過去最高の販売実績を達成した。
 なお15年12月には、新型ロードスターが同社としては2年連続となる「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、同社ブランドの提供価値である「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を最新の技術で具現化。国内外から高い評価を得ており、台数成長に貢献すると見られる。

 三菱自動車の販売状況を見ると、北米ではアウトランダーやアウトランダースポーツを中心に販売が好調に推移した。欧州では、西欧でドイツや英国を中心に販売を伸ばしたが、ロシアでは経済情勢の悪化などの影響から販売が落ち込んだ。なお、国内販売は、登録車はプラス成長を堅持したものの、マーケット環境が厳しい軽自動車で大きく減少したことを受け、前年比18.4%減の10万2000台の大幅減を余儀なくされた。これらの要因により、グローバル販売は、同0.6%減の107万1000台となった。
 一方同社では、15年11月末で米国工場を閉鎖している。16年度は固定費削減効果が1年を通じて出てくる見通しで、約100億円の業績浮揚効果が期待される。

 スバルの15年暦年の販売台数は、前年比9.2%増の97万8000台と、2桁成長に近い伸長となった。国内販売は、登録車の販売が供給制約もあり微減であったが、受注は好調で前年実績を超えたもよう。海外では、米国、カナダ、欧州、豪州などで販売が伸長した。
 なお米国における足元の販売状況については「1月は辛うじて前年を超えるレベルであった。全需が100%を切るレベルであったことを考えると、スバルとしては良かったと認識している。在庫状況は依然として極めて少なく、従来の勢いが落ちたということはない。これからも引き続き強いトレンドを継続できる」(2月4日:15年度第3四半期決算説明会)としている。

電子デバイス産業新聞 編集部 記者 清水聡

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