商業施設新聞
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No.518

チュチュアンナのうらやましい環境


今村 香里

2015/8/11

チュチュアンナの新本社ビル外観
チュチュアンナの新本社ビル外観
 今春、大阪環状線の森ノ宮駅近くに靴下やインナーの専門店を展開するチュチュアンナの新本社ビルが完成した。このビルがとにかくうらやましい。

 本社ビルの規模は8階建て延べ5617m²で、空間デザインはジャモアソシエイツ インテリアデザイナーの高橋紀人氏、ヨツギ・ヤスノリインコーポレーション クリエイティブディレクターの世継恭規氏が担当した。
 外壁やオフィスの随所には8つの小さい丸が集合した模様がデザインされている。これは繊維の断面をイメージしているという。また、ビルを上空から見下ろすと靴下の形になっているなど、靴下を製造する会社ならではの遊び心が垣間見える。

 新本社ビルを建設する際に最も重視したのは「コミュニケーション」だという。ビルにはそのアイディアが詰まっている。中でも、2~3階のオフィスフロアでは、広い空間でも社員同士のコミュニケーションが活発になるよう、室内の柱と壁をすべて取り払い、ワンフロア全体を見渡せる空間となっている。そして、社員同士のコミュニケーションが偏らないように、デスクの席も固定していない。デスクの下にある「引き出し」だけ移動式になっており、いつでも楽に引越しができるという。

本格的な茶室では、定期的に茶道教室が開催される
本格的な茶室では、定期的に茶道教室が開催される
 我が社のオフィスにも欲しい、と思ったのがオフィスフロアの片隅に設けられた立ち会議スペース。円状のホワイトボードで囲われた空間で、ちょっとした立ち話や、話し合いができる。ホワイトボードにメモしながら話せるのも便利だ。何気ない会話の中で、ふとした瞬間に生まれてくるアイディアを逃さないように工夫されている。確かに会議という堅苦しい名目ではなく、普段の会話の中での方が、企画がまとまったりするものだ。
 このほかにも、社員教育の一環として、“おもてなし”などサービスの本質を勉強するための「茶室」、リフレッシュできるテラス、広々としたラウンジなどが設けられており、働く環境としては最適だ。

 それだけではなく、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)を強化するため、オフィスフロアには仮想店舗も設置されており、よりよい商品、店づくりに活かしていくという。

 経営体制では、営業本部、業務支援本部、海外事業本部など7つの本部を新たに設置し、それぞれの本部に執行役員を配置、経営判断のスピードアップや次世代への経営基盤の準備などを図っていくなど組織も見直されている。
 代表取締役社長の上田利昭氏からは、新本社ビルの完成に伴い、創業から大切にしてきた「創造すること、改良・改善を絶え間なく続けていくこと」の原点に戻り、よりよい商品、店づくり、サービスを追及し、さらに挑戦していきたいとコメントしていただいた。

 チュチュアンナの新本社ビルを案内してもらいながら、働く環境の大切さをしみじみと感じると同時に「うらやましい」と思うばかりだった。
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