ちびまる子ちゃんラッピング電車運行の共同記者発表(左から静岡鉄道(株)取締役鉄道部長の仲田健二氏、(株)ドリームプラザ代表取締役社長の大井一郎氏、ちびまる子ちゃん、静岡市観光交流文化局長の木村精次氏)
日本と台湾の緊密さを感じる2つの記者会見に参加したので紹介したい。1つはドリームプラザ、静岡鉄道、静岡市による「ちびまる子ちゃんラッピング電車運行」の発表会で、台湾などからの外国人観光客の回遊を期待するもの。もう1つは、台湾初のウイスキー製造会社「金車股※(=にんべんに分)有限公司」による「KAVALANウイスキー世界巡回試飲会in東京」で、世界で最も権威のあるウイスキーの賞を受賞した同社の東京での会見だ。「観光」と「ウイスキー」という異なる分野だが、日本と台湾の双方が互いを重要な地域と認め合っていることが印象的だった。
商業施設のドリームプラザ、静岡鉄道、静岡市は、「ちびまる子ちゃんの生まれた町にあそびにおいでよ!」の文字と、桜色で塗装したラッピング車両を、静岡鉄道の新清水・新静岡間で7月下旬から1年間運行する。これは、アニメ「ちびまる子ちゃん」の放送25周年と、同作品の舞台である静岡市(旧清水市)にあるエスパルスドリームプラザ内「ちびまる子ちゃんランド」の開館15周年を記念する催し。同アニメは台湾、中国、東南アジアでも人気がある。静岡市と企業は官民連携で「ちびまる子ちゃんラッピング電車」を運行することで、外国人訪問客(インバウンド)の拡大、市内の回遊性向上につなげたい考えである。静岡市は、台湾との交流が盛んで、市職員が頻繁に台湾へ赴き、観光誘客を図っている。
静岡市観光交流文化局長の木村精次氏によると、「静岡空港には年間約25万人が訪れ、そのうち10%はドリームプラザやちびまる子ちゃんランドを来訪する。しかし、それ以外の方はいわゆる観光のゴールデンルートに乗り、箱根や東京へ行ってしまう」という。
静岡は通過県になりがちだが、県内には世界遺産の富士山、三保の松原のほか、久能山東照宮、お茶畑など見所がたくさんある。さらにドリームプラザは14年秋に改装を行っている。台湾を含む外国人観光客が静岡県内に滞在することを期待したい。
「KAVALANウイスキーの世界巡回試飲会in東京」での会見(左から主席アドバイザーのジム・スワン氏、リー・ユーディン社長、主席ブレンダーのイアン・チャン氏)
一方、金車股※(=にんべんに分)有限公司の「KAVALAN」ウイスキーは、3月にロンドンで開催された世界で最も権威のあるウイスキー賞と言われる「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」で「ワールド・ベスト・シングルモルト・ウイスキー賞」、「ベスト・アジアン・シングルモルト賞」を受賞した。台湾初の快挙となり、同社はより多くの人がKAVALANの良さを知り、理解を深められるように試飲会を開いて世界を巡回している。上海、フランクフルトに次ぐ3番目に、東京を7月下旬に訪れ、リー・ユーディン社長は、「日本は非常に重要な市場である」と語った。
世界で最も権威あるウイスキーの賞を受賞した台湾企業から、世界で3番目のお披露目の場所として東京が選ばれたのは日本人としてうれしい。
静岡県にインバウンドが滞在するためにも、静岡県と金車股※(=にんべんに分)有限公司がタッグを組んでそれぞれ魅力を発信できないだろうか。例えば富士山の水を使った台湾ウイスキーの製造、静岡おでんを使ってもてなす台湾ウイスキーバーという案だってある。