電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第682回

Galbot Vice President 府川 葵氏


高性能ヒューマノイドを展開
日本でも事業活動を本格化

2026/6/19

Galbot Vice President 府川 葵氏
 Galbot(ガルボット、北京銀河通用机器人、中国・北京市)は、独自の高性能ヒューマノイドロボットなどを展開するスタートアップ企業。2023年の設立から約3年での資金調達額は累計で10億ドルを超え、現在の企業評価額は30億ドルを超える。そして日本でも本格的な事業展開を開始し、すでに多くの引き合いを得ている。同社のVice Presidentである府川葵氏に話を伺った。

―― 貴社の概要から。
ヒューマノイドロボット「G1」
ヒューマノイドロボット「G1」
 府川 23年5月に設立したスタートアップ企業で、ヒューマノイドロボットを含むフィジカルAI/エンボディドAI技術を提供しています。ハードウエアに加え、AIをはじめとしたソフトウエアも自社で開発しており、設立から現在までの累計資金調達額は10億ドルを超え、企業評価額は30億ドル以上になっています。製品としては、最大10kgのものを運搬できるヒューマノイドロボット「G1」と、最大50kgのものを運搬できるヒューマノイドロボット「S1」などをラインアップしており、26年夏に二足歩行型の新機種を発売する予定です。当社の製品は、中国では、CATL、ボッシュ、トヨタ自動車、現代自動車といった自動車関連企業の製造現場をはじめ、物流、小売、ヘルスケアなど幅広い業種で採用され、累計の受注台数は数千台規模に達しています。

―― 活用事例を教えて下さい。
 府川 先に述べた以外の分野では、エレクトロニクス関連でも採用が増えており、部材が入った箱の搬送、部品の仕分け、ねじ回し作業など幅広い業務で活用されています。また中国では、当社のヒューマノイドロボットを活用した無人の薬局も出てきており、注文が入った商品をロボットが棚から取り出して配達員などに渡すまでの作業を無人で行っています。数千種類の商品をミスなく取り扱うことができ、ロボットでありながら中国では医薬品登録販売者として認可されました。変わったところでは、エヌビディアが当社のヒューマノイドロボットを活用して、手術室で器具を準備したり片づけなどを行う実証を行いました。

―― 技術面での特徴は。
 府川 当社は、独自のSim to Real技術(シミュレーターで学習させたAIや機械学習モデルを、現実世界のロボットシステムに適用する技術)を有しており、大規模で高品質な合成データセットによる大規模な事前学習を行うことで、最小限の実世界データでシステムを構築できることが特徴です。コストが高い実世界データ収集への依存を大幅に削減でき、複雑な環境における汎用性が高く、導入までのリードタイムも短くすることができます。
 また、最近は動画から人の動きなどを学習する技術の開発にも力を入れています。3月に当社のヒューマノイドロボットがテニスをしている動画が話題となったのですが、そのロボットに搭載されているAIは、テニスプレーヤーの動画を4時間学習して運動パターンを構築したものがベースとなっており、動画で基礎的な動作理論を学んだうえで、シミュレーションで精度を上げるという取り組みも進めています。

―― 日本での事業展開について。
 府川 製造業を中心にロボットなどの自動化技術に対して理解があり、人手不足が深刻化している日本を、当社の技術が活かせる市場として以前から注目しており、1月に高輪ゲートウェイ駅に隣接する「THE LINKPILLAR 1 SOUTH」に日本オフィスを設置しました。また、25年12月に開催された「国際ロボット展」や4月に開催された「ヒューマノイドロボットEXPO」に出展したところ、高い関心をいただいています。日本では製造、物流、小売からの引き合いが多く、大手企業からもお話をいただいています。直近はヒューマノイドロボットロボットを活用したいという方だけでなく、部品などのサプライヤーの視点から関心を持つ方も増えています。

―― 日本で計画されていることはありますか。
 府川 SDK(ソフトウエア開発キット)の提供などに加え、ロボットのデータを収集する施設の構築も検討しています。中国ではロボットのデータを収集する施設を自社ですでに構築しており、自社での研究開発に利用しているほか、データの販売であったり、データ処理に関する機能をユーザーへ貸し出したりしています。その結果、データのオペレーター人材が育成され、2次開発のエンジニアも増えました。それがソリューションの拡充、ひいては製品採用の拡大にもつながり、保守メンテナンスに関するノウハウも積み上がってきました。こうしたエコシステムの構築を日本でも実現していきたいと考えています。

―― 今後の計画について。
 府川 日本市場では大手企業との実証などに加え、販売、システムインテグレーション、保守メンテナンスなど様々なパートナー企業と連携していきたいと考えています。また、日本におけるデータ収集施設の設置についても検討を進めていきます。オフィスがある高輪ゲートウェイは、ロボットの実証が多数行われているエリアでもあり、そうした地の利を活かして様々な実証を進めていければと考えています。
 あと、これはまだ検討段階ですが、日本企業と連携してODM(Original Design Manufacturing)のかたちで開発することもあると考えています。例えば、当社がライセンスを提供し、日本製部品の採用や組立を日本国内で行うことなども可能性があると思っており、当社製品へ興味がある方はもちろんですが、こうした取り組みに興味のある方がいれば、ぜひお声がけいただければと思います。
 当社は、中国だけでなく、中国以外での展開もすでに進めており、中国以外の販売で26~27年に日本円で100億円規模の売り上げを目指しています。日本市場についても今後2~3年で100億円規模の売り上げを目指していきたいです。


(聞き手・副編集長 浮島哲志)
本紙2026年6月18日号13面 掲載

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