車載用パワー半導体、SiCで実装環境高温化
電子部品の信頼性半減も、信頼性の再構築不可欠に
ハイブリッド車(HV)のインバーターに、SiCパワーデバイスの搭載が始まる。SiCパワーは自動車メーカーに数多くの恩恵をもたらす。高耐圧化と低損失化に伴うパワー搭載部のコンパクト化に加え、高耐熱性が水冷を不要とし、空冷による省スペース化とコストダウンを一石二鳥で獲得できる。だが、そのしわ寄せは、実装環境の高温化というかたちで基板や電子部品に押し寄せる。
HVインバーターユニットは、パワーモジュール搭載部を真ん中、下に冷却部、上に制御系基板というサンドイッチ構造で構成される。モジュール内のパワーデバイスにはIGBTが採用され、充電用や駆動用モーターを制御するインバーターでは、発熱の大きいIGBTモジュールを冷却フィンの上に実装する。
IGBTチップの数は、回路方式やモーターの馬力に応じて複数個が搭載される。HV走行時、IGBTは最高150℃の高温になる。自らの発熱で保証動作温度を超えた場合、デバイス破壊を起こすため水冷式で冷却される。
パワーデバイスはスイッチング動作が主体で、1つ1つのスイッチング素子に制御回路と保護回路が必要になる。この役目を担うのが制御系基板だ。ハロゲンフリーのガラスエポキシ基板で、多層構造のマザーボードである。ここに抵抗器やコンデンサー、インダクタなどの受動部品に加え、マイコン、IC、小信号トランジスタ、MOSFET、レギュレーター、フォトカプラなどの能動部品も搭載される。搭載員数は最小でも数百個。ボードサイズが大きい場合は、数千個もの電子部品を搭載する。基板サイズはIGBTチップの搭載数と連動しており、チップ数が増えるほど電子部品の員数も増え、基板サイズも大きくなる。
(以下、本紙2015年7月30日号1面)
◇ 東芝 不適切会計問題、歴代3社長が辞任、「最大のブランド毀損があった」
◇ トヨタ自動車、生活支援ロボット 推進団体を発足へ
◇ 5月の自動車国内生産、11カ月連続で減少、日産以外は減産基調
◇ SCREENホールディングス、車載部品用AOI、独自の画像処理技術応用
◇ ルネサスとアウディ、半導体分野で協業 国内半導体で初
◇ ナイトライド・セミコンダクター、高効率UV-LED、低コスト生産を実現、
バッファー層を改良
◇ セイコーインスツル、専用タイマーIC、エンジン停止後の管理に
◇ 富士電機、パワーモジュール ハイブリッド拡充
◇ 中国・四川省、ICファンド発足へ、融資枠は1400億円
◇ TSMC 4~6月期、売上高は8%減、中国スマホの需要減で
◇ GF、独工場に先端SOI、FinFET技術に対抗
◇ ユニオンツール 15年度、設備投資は22億円、新製品の生産を増強
◇ AT&S、部品内蔵技術でパワーを小型化
◇ ISSI、新型MCPを発売 車載・産業機器用
◇ NSマテリアルズ、福岡県広川町に新工場、5年で総額100億円投資
◇ Kateeva、本社を移転・拡張、上級副社長に日本人起用
◇ 旭硝子、導光板向けガラス基板、厚さ5mmのテレビ実現
◇ 米国政府、中国製PVに関税30%、反ダンピングなど引き上げ
◇ 三菱自動車ら、車載電池を再利用 フランスで実証
◇ ASML 4~6月期、受注高は5割増、EUV大型受注が要因
◇ ヨコオ、AFM市場に参入、産総研発ベンチャーと提携
◇ 東京エレクトロン、先端PKG対応の高効率めっき装置
◇ ブラザー工業、HMDを2機種投入、東大病院と共同開発
◇ Steeper、筋電義手を開発、自然な動き再現
◇ 日本空港ビルデング、空港にロボ導入 サイバーダイン製
◇ 日本電産 4~6月期、売上・利益が過去最高、HDDモーターの収益改善
◇ ミツミ電機 カメラ用アクチュエーター、OIS・高性能AFに照準、フィリピンでOIS倍増
◇ 産総研、体積1000分の1に、CNTキャパシタ開発