Si負極材、国内外で研究開発加速
LiB高容量化実現へ、膨張問題の解決がカギ
モバイル機器の高性能化が進み、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)のラインアップも拡大するなか、機器や車に搭載するリチウムイオン電池(LiB)の高容量化ニーズが高まっている。その解決策として期待が高いのが、シリコン(Si)を負極材料として使用する取り組みだ。
LiBにおいて負極材は充電時にリチウムイオンを受け取り、放電時に電子を放出する役割を担い、現在グラファイト系材料が主に使用されている。その負極の新しい材料としてSiが注目を集めている理由は、Siが持つ理論容量の高さにあり、グラファイト(372mAh/g)の10倍以上(4200mAh/g程度)の性能を持つ。
ただ、純粋なSiは導電性が低いため電池材料として使用できず、カーボン系材料などと混合して使用する必要があるが、それでも3倍程度(1000mAh/g)の性能が実現でき、スマートフォンをはじめとしたモバイル機器の使用時間を長くし、PHVやEVの走行距離を延ばすことができる材料として注目されている。
そのため国内外の大学・企業で研究開発が行われており、米テスラモーターズのバッテリー技術ディレクターのカート・ケルティー氏も、本紙のインタビューで「サイクル特性に課題があるものの、Si負極材などには注目している」と語っている。
しかし、Si負極材には大きな問題がある。Siが充放電の際に体積が大きく膨張・収縮することだ。グラファイトでも同様の現象はあるが、Siはその度合いが大きいため耐久性に難があり、ケルティー氏が指摘するようにサイクル特性が課題となっている。
(以下、本紙2015年7月2日号1面)
◇ 航空機市場、20年間で3.3万機の新規需要、関連各社で投資活発化
◇ ボッシュ、日本市場で拡大継続、自動運転技術の開発強化
◇ BYD、新PHV「唐」発売、モーター2個のSUV
◇ NEVS、天津にEV工場建設、旧サーブの技術引き継ぐ
◇ 浜松ホトニクス 10~3月期、光半導体堅調で増益、MEMS専用棟も稼働
◇ JR東海、新幹線にSiC、駆動システムを開発
◇ INCJ、6億円の出資決定 NVMベンチャー
◇ ルネサス トップ交代、遠藤新CEOが指揮、M&Aなど具体策急務
◇ エレクテック、LED工場を拡張、先端パッケージに40億元
◇ サムスン、スマホ工場を稼働、インドネシアで組立開始
◇ キョウデン、EMS事業に参入、17年度に250億円目標
◇ オーロナ、日本市場を積極開拓、売り上げ比率10%狙う
◇ ヨコオ、LED基板の新工場、車載など高出力用途へ展開
◇ HKC、重慶8.5G工場を着工、月産7万枚で17年稼働
◇ サムスンディスプレー、ミラーと透明を開発、小売業界用に有機EL
◇ セイコーエプソン、業務用モベリオ発表、3年で販売目標1万台
◇ サムスンとLG、家庭用ESSに参入、欧州など海外市場へ展開
◇ パナソニック、豪州市場に参入 蓄電池システム
◇ ソーラーフロンティア、英国にPV発電所、最大100MWに
◇ イノフィス、腰補助ロボを軽量化、CEマーキングも取得
◇ パナソニック ヘルスケア、糖尿病機器事業を買収、独バイエルの傘下企業
◇ ユーグレナ、バイオ燃料製造のライセンスを取得
◇ 扶桑化学工業 15年度、超高純度コロイダルシリカ、CMP用で増収狙う
◇ グローバルネット、CMP受託加工を展開、台湾でも事業開始へ
◇ フェローテック、SiC企業を買収 三井造船関連会社
◇ 東京大学、新導電インクを開発、布地に印刷で回路形成
◇ 浜松ホトニクス、電子管新棟8月稼働、μPMT量産ラインも構築
◇ 日立金属、Nd磁石新工場 中国企業と合弁