10G液晶工場、計画浮上も「決定打」欠く
サムスン・BOEが再考か、供給過剰や技術ハードルを懸念
4K/8Kテレビ市場への期待感や平均画面サイズの大型化に伴い、第10世代(10G)クラスの大型マザーガラスを採用した液晶パネル工場の新増設計画が中国はじめ韓国勢の間で、複数浮上している。世界で唯一の10G工場である堺ディスプレイプロダクト(SDP)は、高い稼働率が継続していることを背景に、デボトル解消で投入能力の増強を進めるようだ。しかし、これに続く計画は、浮上こそしているものの、供給過剰への懸念や技術ハードルの高さからゴーサインが出るまでには至っていない。実現までにはまだ紆余曲折がありそうだ。
最も10Gの実現に意欲的なのが、中国最大手のBOEだ。安徽省合肥に計画中の「B9」は2940×3370mmという世界最大の10.5G工場になる予定で、総投資額400億元、2015年末の着工、16年初頭に装置発注、17年7~9月期に装置搬入というスケジュールが組まれている。最終的な投入能力は月間12万枚という巨大工場だ。
この背景には「韓国LGグループがいる」と業界関係者は指摘する。LGはB9に液晶テレビ用75インチパネルの生産委託を検討しており、プロジェクト全体をサポートする。LGは韓国のラインを有機ELや低温ポリシリコン(LTPS)に転換しつつあり、大型アモルファスシリコン(a―Si)TFTの供給元を中国に求めているようだ。
だが、世界No.1を目指すと公言するBOEにとっても10.5G工場の実現は容易ではない。10G用の装置・部材のサプライチェーンはまだ中国にないためだ。こうした点や資金調達などを考慮してか、「直近では厦門に計画中の次期8.5G工場『B10』の建設をB9よりも優先する可能性が高い」(業界関係者)。
(以下、本紙2015年4月23日号1面)
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