SAW/BAWフィルター、能力増強に拍車
LTE普及で需給タイトに、大口径化にも着手
特定の周波数や電気信号だけを取り出すフィルターデバイスの増産に拍車がかかっている。4G LTEスマートフォン(スマホ)の普及に伴うマルチモード/マルチバンド(MMMB)対応で参入各社が継続的に生産能力を増強してきたが、それでも需給がタイトで、今後もさらなる需要増が見込まれるためだ。デバイス構造の進化や大口径化といった要素も出始め、モジュール化も含めて各社のシェア争いがさらに激しさを増しそうだ。
主要RF部品のなかでMMMB対応によって需要が拡大しているデバイスは、フィルターとパワーアンプ(PA)である。PAは、複数のバンドに1個で対応するマルチバンド対応品を実用化したことで、端末1台あたりの搭載員数の増加を一定程度抑制できているが、こうした手法が適用できないフィルターは特定の周波数に対して必ず1個必要なため、員数の増加トレンドが急激な右肩上がりのままで推移している。
RF部品の調査会社ナビアンの安藤嘉泰氏は「PAメーカーが次の成長エンジンとして、事業買収や経営統合でフィルターの内製を強化したのが2014年の動きだ」と解説する。
フィルターは、タンタル酸リチウム(LT)やニオブ酸リチウム(LN)といった結晶ウエハーに櫛形電極を形成したSAW(表面弾性波)フィルターと、シリコンウエハー上に圧電性薄膜を形成してバルク波を利用するBAWフィルターの2種類に大別できる。
BAW最大手として「FBAR」を供給している米アバゴテクノロジーは、6インチシリコンウエハーから8インチへの大口径化を進めている。14年度(14年11月期)の設備投資額は4億ドル強だったが、15年度は6億ドルへ増額し、その大半をFBARの増産へ充てる。どれだけ増産に寄与できるかは「いかにスムーズに8インチ化を実現できるかにかかっている」と述べている。
(以下、本紙2015年2月26日号1面)
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