車載用デバイス、一気に上昇
ECUは20年に30兆円市場、電装化の加速で需要量が急拡大
世界の自動車生産台数はいよいよ大台の1億台が射程圏内に入ってきた。「安全・快適・環境」志向の高まりで電装化が急ピッチで進展する。自動車の製造コストに占める電子部品比率は、2020年にHEVで実に67%に達するといわれている。また、一方で車載通信の世界も急激に成長する見込みであり、車載分野でのIoT(Internet of Things)は、この7~8年間で年率37%で成長し、20年に3.2億台に達すると予想される。車載用機器全体では30兆円のビッグ市場が形成される。これを背景に車載向け半導体も20年には5兆~6兆円のビッグマーケットに躍進する見込みだ。パワー半導体も各社が増産投資を再開しており、15年の生産能力は大幅に引き上がる。画像センサーも各社が投資を構えている。車載向け液晶ディスプレーの数も急拡大する。自動車向けデバイスは、安全運転、さらには自動車自体の端末化という大きな流れに乗って爆発的な一気上昇の時を迎えた。
■クルマの端末化でデバイス市場急拡大
世界を覆い始めたIoTまたはM2Mという概念は、自動車の世界にも劇的な変革を迫ってくる。車載通信の世界が大きく広がり、車自体はこれまで1台で完結した世界であったが、これを大きな情報端末に変えてしまうのだ。ディスプレー付き電子インパネ、ヘッドアップディスプレー、カーナビゲーション、カーオーディオなどの情報系におけるECUの需要額は、20年には6.6兆円の市場に跳ね上がる。もっとも大きい駆動系はエンジン制御、変速機、ブレーキなどにおけるECUが20年に13.5兆円になるのだ。運転支援、駐車支援、エアバッグなどの安全系のECUも20年には3.6兆円となる。さらにエアコン、電動シート、電動ウィンドウなどのボディ系に使われるECUは、20年に6.1兆円が見込まれている。つまり車載用電子機器全体のマーケットは、車が圧倒的な通信機能を持ち、インターネットにつながることで、その需要額が12年に比べ約65%成長し、30兆円の巨大市場が現出することになるだろう。
(以下、本紙2015年1月22日号1面)
◇ 見えてきた自動運転実現への道、20年代実現へ開発加速、
車の枠を超えた産業創出も
◇ トヨタなど5社、ブレーキ事業を強化、アドヴィックスが新工場
◇ 三菱電機、3レベル対応のパワーモジュール
◇ ルネサス、車載SoC用の16nm回路技術
◇ UTグループ、15年度に売上450億円へ、環境・自動車分野を拡大
◇ 14年の世界半導体市場、8%増の3398億ドル、ガートナー調べ
◇ 国内大手プリント回路部門 14年度通期投資計画、車載・海外工場軸に展開、
イビデンは一部投資を先送り
◇ 半導体リードフレーム、QFN需要拡大で復活、多ピン対応でBGAも代替へ
◇ PFSC、次世代モノづくり提唱、高歩留まり工場実現へ
◇ HKC、重慶市に8.5G工場、月産6万枚で17年稼働
◇ BOE、オルドスの拡張計画、第2期はLTPSのみ
◇ JOLED、有機EL事業を開始、印刷で中型を量産化へ
◇ 太陽光発電市場、15年導入量は50GW超、生産・販売3GWの攻防
◇ 昭和電工、新型ラミフィルム、超薄型電池を実現
◇ 東芝、ワイヤレス給電用 受電・送電用IC
◇ ダン・タクマ、洗浄市場に新規参入、薬液フリーのオゾン洗浄
◇ 関西大学と帝人、圧電繊維を共同開発、ポリ乳酸と炭素繊維で
◇ JA三井リース、AGSSへ出資 装置リース強化
◇ パイオラックス、3年で投資190億円、医療事業で新工場建設
◇ エー・アンド・デイ、ベトナムに新工場、家庭用血圧計の製造強化
◇ サイバーダイン、福島県の新工場 14年度内着工へ
◇ 東北地域、航空宇宙産業の集積に意欲、TAIFを核に活性化へ
◇ 旭金属工業、マレーシアに新工場、米国でも航空機部品加工
◇ 安川電機、中間市に新工場、ロボット需要増に対応
◇ JEITA電子部品部会、肉薄するアジア勢に対抗、高品質と高信頼性で勝負
◇ 積層セラコン、大容量化で需要増、村田と誘電が工場新設
◇ 中紀精機、インダクタ増産 投資額約15億円