電子デバイス天気予報、スマホ調整 今年は小幅
好調iPhoneが下支え、自動車・産業機器が追従
本紙は、半導体や電子部品など電子デバイス産業に関する今後の需要予測をまとめた。需要動向を大きく左右するスマートフォン向けは、米アップルのiPhoneが例年になく好調で、2015年1~3月期も生産調整のリスクがそれほどなく、部品各社が発注減に苦しむことはなさそうだ。加えて、電装化が進む自動車、スマート化が進む産業機器がこれに追従するかたちでデバイス需要を生み出しており、15年は14年に作った良い流れをそのまま持ち込むことができると見る。主要セットの動きを中心に、今年の電子デバイス産業を展望する。
iPhoneに関しては、例年に比べて年明け(1~3月期)の生産調整が小幅にとどまりそうだ。過去2年は、10~12月期との比較で生産量が約4割減少していたが、現行の最新機種である「6/6Plus」の強い需要に支えられ、例年にない需要パターンとなっている。これは5.5インチの「6Plus」の生産が14年7~9月期、10~12月期で十分にできなかったことと、iPhoneの販売国数および取り扱い通信業者の増加が大きく関係しているといわれている。
この影響は川上のサプライチェーンにも出始めており、半導体用封止材を手がける住友ベークライトは、「上期(14年4~9月)と下期(14年10月~15年3月)の落差がほとんどない」と見ているほか、シリコンウエハーを手がけるSUMCOも「(例年調整が行われる)14年10~12月期の300mmウエハーの調整は軽微にとどまる」と予測する。
一方、パソコンに関しては、依然として低空飛行が続く。14年も年前半はXPのサポート終了に伴う買い替え需要があったものの、一過性に過ぎず、結果的にマイナス成長になったもようだ。15年もこの流れに大きな変化はなく、厳しい事業環境となる。同様に、タブレットも大手調査会社が軒並み出荷台数見通しを下方修正するなど、将来性を大きく不安視されるようになってきている。
そうした意味で、スマホに次ぐデバイス需要の大きな柱として期待されているのが自動車分野だ。周知のとおり、完成車の生産台数と1台あたりの部品搭載点数の「2つの増加要素」により、今後4~5年は高い伸びが見込まれている。半導体分野でいえば、市場全体に占める車載用の割合は現状7~8%であるが、今後の伸びを考慮すると、早晩10%台に達する可能性は非常に高そうだ。
(以下、本紙2015年1月7日号1面)
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