3Dプリンター、20年に1兆円を形成
日本は金属材料・装置開発に注力、外資の牙城切り崩し手法に賛否
経済産業省は4月、3Dプリンターの装置やソフトウエアの市場規模が、2020年に1兆円になるとの試算を発表した。12年の2300億円から4倍以上の規模となる見通しだ。3Dプリンターは30年ほど前からある技術だが、10年前後から各装置の基本特許が切れ始めたこと、12年に米国でベストセラーとなった『MAKERS』(Chris Anderson著)と、13年2月にオバマ大統領が行った一般教書演説における3Dプリンターへの言及や政府支援が、昨今のブームの火付け役になったといわれている。国内では、経済産業省が主導する「技術組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)」が始動した。業界の動きを追った。
調査会社のシード・プランニングが13年12月に発表したレポートによると、3Dプリンター装置の国内市場規模は、金額ベースで12年に94.4億円、13年に117.9億円、20年に193.8億円となり、台数ベースでは12年に1633台、13年に3295台、20年に4万台になると予測されている。矢野経済研究所では、12年に1692台、13年に1万台、16年には2万台規模になると予測しており、13年から急拡大し、今後20年まで右肩上がりで成長するとして注目を集めている。
メーンメーカーは、M&Aを繰り返して世界2大メーカーとなったストラタシス(米)、3Dシステムズ(米)のほか、EOS(独)やArcam(スウェーデン)、国内ではシーメット、アスペクトや松浦機械製作所、独自技術の開発により11年に新規参入したキーエンスなどだ。米2社で世界市場シェアの8割以上を持つと見られている。
主に3Dプリンターが使用されるのは試作分野で、金型では製作が難しい複雑な構造物の検証や、金型製作のコスト・タスクタイムを低減するものとして重用されている。材料を含めた技術開発や低価格化対応などは一朝一夕で叶うものではなく、新規メーカーが参入しやすい分野ではない。また、数万~数億円まであるどの価格帯の機種にしても、3Dプリンターは2Dのインクジェットプリンターと同様の市場構造であり、装置+材料のセット販売で、装置に合わせ込んで開発した材料による、消耗品展開で利益を上げる仕組みが確立されている。
(以下、本紙2014年6月25日号1面)
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