半導体商社、再編の号砲鳴る
メガ商社の動向がカギ握る、車載・グローバル化が切り口に
国内半導体商社業界に再編の機運が漂ってきた。車載向け製品が好調に推移したことや海外での売り上げ増が貢献し、足元は一息つける状態に戻ってきたが、大手セットならびに半導体メーカーの国内事業の縮小事例が相次いでおり、いつまでも国内市場に固執するわけにはいかない。バイイングパワー(購買力)の確立ならびに海外市場への本格展開をにらみ、業界が騒がしくなってきた。
先月、半導体商社業界に激震が走った。売上高で国内No.2のマクニカと中堅の富士エレクトロニクスが2015年4月をめどに経営統合すると発表したのだ。両社の売上高を単純合算すれば、国内最大規模の半導体商社が誕生するからだ。
「欧米やアジアのディストリビューターの再編はすでに終わっている。国内のみが市場規模3兆~4兆円のなかに30社も存在するのは明らかに異常だ。これまでは日本独特の商習慣やオーナー経営もあって、なかなか再編が進まなかったが、国内市場が縮小しており、淘汰・再編は本格化する」と言い放つ大手半導体商社の上層部もいる。
■5000億円が最低限
今回の経営統合では、バイイングパワーを確保したいマクニカならびに海外市場を一気に拡大したい富士エレクトロニクスの思惑が合致した。
FPGAに強く技術力の高いマクニカと富士エレでは相乗効果が大いに期待できる可能性がある。当事者の一人は「話し合いを始めたのは今年に入ってからで、合意に達したのは発表直前の5月下旬」とスピード交渉であったことを打ち明ける。
一般に国内の半導体商社は売り上げ規模が小さく収益力が心もとない。売上高営業利益率で3%以下のところが多い。国内最大手のUKCホールディングスでさえ売上高は3000億円強にとどまっており、いわゆるメガディストリビューターといわれるアヴネットの売上高2.5兆円とは雲泥の差がある。
バイイングパワーをフルに発揮するためには事業規模(売上高)がポイントになる。他の独立系半導体商社のトップは「最低でも売上高5000億円が必要」と断言する。
(以下、本紙2014年6月18日号1面)
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