電子部品市場、主戦場は「車載」に
日本製シェア40%で独走、SiC周辺が差別化要素に
電子部品の世界市場は14兆~20兆円。このうち日本製が40%のシェアを持つ。先頭を走る日本を追いかけるのがアジア勢で、そのシェアは30%。虎視眈々と日本製とのリプレースを狙っている。対する日本勢は卓越した技術開発力、供給責任を全うする量産ライン、そして海外に販路を拓くマーケティング力、三位一体の総合力でアジア勢の猛攻を跳ね返す。次なるターゲットは、シリコンカーバイド(SiC)周りの車載用途だ。さらなる飛躍を目指す日本電子部品産業界の動向を、同分野に造詣の深い佐藤譲氏((株)DGリサーチ代表)の協力を得てまとめた。
暗黙の了解として、電子部品とは、抵抗、コンデンサー・コイル、トランスを三本柱とする受動部品、コネクター・スイッチなどの単体部品、電源類の組立ユニット部品や超小型モーター、ソケット・フィンなどの機構部品、プリント配線板などを指す。昨今ではセンサー類やMEMSも範疇に入っている。
だが、トランジスタ、ダイオード、オペアンプなどの能動部品は含まない。もちろん半導体集積回路(IC)も範疇から外れる。
電子部品市場が14兆~20兆円と数字に開きがあるのは、電子デバイス全体のカテゴリー分けが曖昧な側面を持つからだ。
■世界市場と地域別動向
世界市場14兆~20兆円のうち、日本メーカー大手10社のみで2013年度は4兆3000億円を押さえている。国内企業は、大手10社に加え、上場中堅企業が約20社、力量ある中小企業20社前後も加算し、40~50社が業界をドライブしている。その生産総額は5兆~8兆円に達する。
ICの世界市場は30兆円で、このうち日本のシェアは13%。日本エレクトロニクス産業界の顔は、もはやICでもデジタル情報家電でもなく、電子部品と表現しても過言ではない。
残りのシェア60%を台湾、中国、韓国のアジア勢が占め、欧州と米国が15%ずつを持つ。アジア勢で注意すべきは台湾と中国で、虎視眈々と日本製品へのキャッチアップを狙っている。
14年度は、13年度のように為替レートの恩恵を受けられないため、電子部品各社の力量が試される年だ。大手10社の14年度計画値は、売上高が13年度比7.6%増の4兆6450億円、営業利益は同26.4%増の3889億円である。10社の総意は相当アグレッシブといえるだろう。
(以下、本紙2014年6月11日号1面)
◇ 半導体・オブ・ザ・イヤー2014、表彰式に受賞社集結、
9社が製品・技術を解説
◇ SEMITEC、中国依存から脱却、東南アジアで生産拡充
◇ 新電元工業 14年度、設備投資額を倍増、秋田にモジュールライン
◇ オスラム、無錫工場を稼働 LEDの後工程
◇ ソニー、車載CMOSセンサーに参入、「2000mV級の超高感度が最大の強み」
◇ パナソニック 半導体事業、黒字化は15年度想定、14年度は赤字の見通し
◇ オリジン電気 14年度、半導体は減収予想、新研究開発拠点を計画
◇ シーゲート、フラッシュ事業買収、アバゴから4.5億ドルで
◇ 陽光照明、LEDで倍増計画、14年の照明売り上げ
◇ 加賀電子 13年度、半導体が大幅回復、利益重視の改革を断行
◇ マイクロチップ、台湾ファブレス買収、無線SoC技術を強化
◇ 新光電気 14年度、売上高11%増を計画、アセンブリーが大幅回復
◇ CMK 14年度、車載強化で黒字へ、価格競争力PJも貢献
◇ 住友ベークライト 14年度、半導体材料 7%増収、中国でシェア5割目指す
◇ OKI、設計専業会社を設立、EMSで一貫受注体制強化
◇ 韓国パネルメーカー、UHDで収益改善、サムスン 黒字転換も
◇ NexTV-F、4K試験放送を開始、Channel 4K開局
◇ TPVテクノロジー 1~3月期、価格下落で赤字に、TPビジョンを統合へ
◇ 晶盛機電、紹興でウエハー加工、サファイア月産10万枚
◇ 大阪有機化学工業、レジスト事業 出光から取得
◇ ヒラノテクシード、14年度は減益に 機器特需の反動
◇ 日本ガイシ、16年度に製品化へ、超薄型の全固体電池
◇ 新昭和、16年までに22件建設、メガソーラー100MWに
◇ オムロン、パワコン生産倍増、熊本で月産6万台に
◇ BASF、LFP正極材 独で生産開始