車載用基板、年5%で安定成長
ECU 貫通・両面が主流、ミリ波レーダー用など新市場も
ハイブリッドカー(HEV)や低燃費車の普及に伴い、自動車の電装化比率は上昇の一途だ。エレクトロニクスコントロールユニット(ECU)搭載数量も拡大が見込まれ、このため車載基板市場は安定して伸長する見通しだ。先進運転支援システム(ADAS)搭載車両などの販売も好調で、特に衝突被害軽減ブレーキシステムの主要センシングデバイスであるミリ波レーダー向け高周波対応基板など、新たな市場が盛り上がりを見せている。注目の車載基板市場の動向を追う。
トヨタや日産など国内自動車メーカーの生産台数が順調に拡大している。2013年の世界自動車販売台数は8400万台強(富士キメラ総研調べ)と見られ、18年には1億台に迫る見通し。先進国での飛躍的な販売増は見込めないが、中国などの新興国では販売台数が確実に伸びていく。
さらには、ミリ波レーダーやカメラを搭載して、前方車両との安全な距離を確保しながら安定走行したり、事故回避自動操作システムなどのADAS搭載車両の販売も好調で、これらが高性能な電子システムの搭載を後押ししている。一部でECU統合化の動きがあるものの、安全面や低燃費化など環境性能の向上により、ECU搭載数量のほうが販売台数よりも伸び率が高いとされる。また、車々間通信や車内ネットワークも高度化・高速化するため、こうしたECUの数も増えると見られる。
■安全確保と低コスト化の両立が最大の課題に
ECU向けメーンボードの市場規模は、「走る」「曲がる」「止まる」と形容されるクルマの主要な働きをこなす重要保安部品用途に限定すれば「5000億円前後」(業界関係者)とみられる。ここにAV(オーディオ・ビジュアル)やカーナビゲーション向けの基板市場を含めれば、7000億円前後になる。今後も年率5~6%増の堅実な拡大が見込まれるが、車載基板特有の難点もある。
それは、長期にわたる品質保証体制ならびに自動車メーカーやTier1などの電装系メーカーからの低コスト化要求だ。人の命を預かる自動車では万が一、不具合を出した時の企業へのダメージが計り知れない。継続的かつ弛まぬ安全性管理を徹底して行い、頻繁にある工場監査に対応しなければならない。コストダウン要請も厳しく、それを実行できる基板メーカーの「基礎体力」には相当な頑丈さが求められている。
(以下、本紙2014年6月4日号1面)
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◇ 第一精工、MEMS事業化 福岡に専用CR
◇ 岡山大学、世界最高レベルの有機トランジスタ
◇ アプティナ、マイクロンからOCF設備取得
◇ サンケン電気 14年度、半導体は11%増予想、白物/車載 引き続き伸長
◇ 新日本無線、新規製品の販売強化、14年度は売り上げ倍増
◇ シャープ、フルHD出力可能に、監視カメラ向けCCD
◇ ハネウェル、磁気センサーを発売、ホール素子の代替狙う
◇ サムスン電子、半導体事業に危機感、非メモリー強化が最大の課題に
◇ エヌビディア 2~4月期、売上高16%増に、PCゲーム関連が牽引
◇ マキシム 1~3月期、粗利悪化で減益 スマホ向け低調
◇ UDC 1~3月期、4四半期連続で黒字、赤・緑色材料の販売好調
◇ Kopin 1~3月期、軍事用低迷で減収、ウエアラブル用は増収
◇ 日東電工 情報機能材料分野、14年度投資400億円、生産性の向上に重点
◇ 国内SPE主要9社 1~3月期、装置受注高は高水準継続、後工程装置が回復基調
◇ AMAT 2~4月期、半導体 受注6%増、ファンドリー投資が下支え
◇ SUMCO 1~3月期、ウエハー事業が好調、上期も増収増益に
◇ 三菱ガス化学 13年度、BT材料は増収増益、タイでの量産を本格化
◇ CMK 14年度、設備投資は42億円、タイ工場を3割増産
◇ メイコー、ベトナムに第2工場
◇ シークス 1~3月期、車載関連が好調 増収増益を確保
◇ パナソニック、南淡工場で生産検討、車載用円筒型LiB
◇ 国内太陽電池メーカー 13年度業績、好調な国内販売が牽引、
14年度は収益悪化の懸念
◇ BESK、北京新工場6月稼働、北京汽車にLiB供給
◇ ダイヘン、密閉でエアコンレス、コスト削減できるパワコン