中国半導体工場、投資案件は玉石混交
転用模索や破綻PJも複数、SMICはレガシー投資加速
世界的に半導体工場投資が過熱するなか、中国では相変わらず新工場計画が2桁規模で進行している。しかし、半導体国産化のアクセルと米国制裁によるブレーキが混在し、中国の半導体装置市場には不透明感が漂う。投機欲が見え隠れする盲目的な投資プロジェクト(PJ)が破綻するなど、ビジネスリスクも表面化している。今後の中国市場では有望案件とリスク案件の見定めがより重要になりそうだ。
2021年の半導体装置市場は前年比18%増の予測だったが、半導体各社の投資計画が次々に確定し、同31%増に拡大している。中国政府が15年に半導体産業の国産化ロードマップを発表してから半導体工場の建設が急増し、中国の半導体装置市場は世界の4分の1の規模にまで成長したが、米中対立がさらに激化すれば、装置の調達が困難になる可能性が高まる。
毎年浮上する多数の新工場案件のうち、米国の制裁リスクがあっても投資を止めない案件もあれば、生産能力の確保へさらにアクセルを踏む案件、不確かな投資背景から不成立に終わる案件もある。装置を発注しておきながら土壇場でPJが破綻してキャンセルするケースもたびたび起きている。「難しいレースなうえに、サーキットのあちこちに地雷が埋まっている」と日系装置メーカーの中国営業担当は話す。
先日、14nmファンドリーの立ち上げ目前だったQXIC(泉芯集成電路)で従業員への給与未払い事件が発覚した。PJ発起人の中国人投資家の詐欺行為も指摘され、本人が雲隠れしPJを中断せざるを得なくなった。済南市政府は同工場内で立ち上げ済みのフォトマスク生産ラインを別会社化し、なんとかこの工場だけでも事業化させたいと苦労している。
3D-NAND製造のYMTC(長江存儲科技)は、年内に128層の量産ラインを稼働し、22年に第2工場を竣工する。第2工場への装置導入スケジュールは不透明だったが、22年7~9月期に月産2.5万枚の装置を導入する計画が最近になって浮上してきた。
(以下、本紙2021年6月17日号1面)
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