電子部品メーカー30社 21年度、設備投資額1兆円超
TDKや京セラが積極投資、水晶メーカーが増産加速
本紙は、国内の主要な一般電子部品メーカー30社の設備投資計画をまとめた。2021年度における30社の設備投資額は合計で1兆80億円が計画されており、20年度に比べて25%増、19年度比では11%増となる見込みだ。20年度は新型コロナウイルスによる経済の停滞などを受けて設備投資を抑制した企業が多かったが、20年度後半からの需要回復などを受けて21年度は設備投資も拡大する見通しだ。 (浮島哲志記者)
21年度の設備投資額をみると、上位8社で全体の約90%を占める。上位メーカーのなかで積極的な設備投資計画を打ち出しているのがTDKで、21年度の設備投資額は20年度比41%増、19年度比73%増の3000億円を計画している。約60%を2次電池関連に充てる方針で、パワーセル(大容量リチウムイオン電池)事業の本格立ち上げに向けた取り組みなどを加速させる。車載や5G関連の受動部品の増強や、マイクロ波アシスト記録や熱アシスト記録関連のヘッド製品などにも資金を充てる。
TDKと同様に積極的な設備投資を計画しているのが京セラで、21年度は1700億円を計画している。20年度比45%増、19年度比では60%増となる水準で、同社として過去最高だ。内訳は公表していないが、セラミック・有機パッケージを中心に国内外で設備を増強するとみられ、セラミックパッケージは鹿児島川内工場(鹿児島県薩摩川内市)やベトナム工場で、建屋の空きスペースに設備を導入して能力を拡張する。有機パッケージは京都綾部工場(京都府綾部市)で、17年に建設したが設備を導入していなかった第3工場を活用する。セラミックコンデンサーやSAWデバイス、水晶デバイスの能力も引き上げる予定で、谷本秀夫社長は「過去最高レベルの投資は今後3年ほど続くだろう」と述べている。
(以下、本紙2021年6月3日号1面)
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