OSAT、中国LTEスマホで投資再開
後工程装置の受注急拡大、長電、天水など中国勢も躍進
パッケージやテストなど半導体後工程を受託するOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly & Test)企業の設備投資がここにきて上昇基調にある。足元では中国で2013年末から4G通信(TD-LTE)のサービスが開始されたことを受け、LTE対応ベースバンド(BB)チップの需要増に備えたテスター投資が活況を呈しているほか、パッケージ分野でもフリップチップ(FC)などを中心に能力増強に向けた装置発注が加速している。一方で、ASEやSPILなど台湾勢が上位を占めるOSAT業界において、中国メーカーの勢いも急速に増してきており、今後数年で勢力図が変わる可能性も出てきた。
14年のOSAT設備投資額総計は、年初段階では前年比5.6%減の36.7億ドルが計画されていた(図1参照)。銅(Cu)ワイヤーなどの低コストボンディングの投資が一服したことが主な減少要因で、主要各社の投資額を見ても、前年並みもしくは微減というところが大半であった。
だが、1~3月期決算を受け、上位各社は一気に強気の姿勢に転じている。最大手の台湾ASE(日月光半導体製造)は年初計画の7億ドルを9億~9.5億ドルに上方修正。米アムコー・テクノロジーも4.5億ドルから5.75億ドルに投資額を引き上げた。これに伴い、14年OSAT投資額は現時点で年初予想比12%増の41億1500万ドルになった。
投資額引き上げの理由の1つとされているのが、LTEサービス導入に沸く中国スマートフォン(スマホ)の活況だ。中国のスマホ市場は14年に4.3億台前後を出荷すると見られ、このうち最大で25%(1億台強)がLTE対応スマホに切り替わると予測されている。低価格が前提の中国市場ではLTEスマホといえども1000元(約1.6万円)が主戦場と目されており、予想以上のスピードで普及する可能性が高い。こうした流れのなかで、チップベンダー各社はTD―LTE対応のBBチップやアプリケーションプロセッサー(AP)を準備し、市場の本格拡大に備えている。
(以下、本紙2014年5月14日号1面)
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