14年度政府予算、エレクトロニクス関連手厚く
半導体の付加価値向上に活路、ヘルスケア・ロボット市場開拓
第2次安倍内閣が本格的に打ち出した経済政策「アベノミクス」効果により、行き過ぎた円高が是正され、日本経済が浮上のきっかけを掴もうとしている。政府も半導体・デバイスとサービス・アプリケーション分野の一体化を図ることで新たな市場やニーズを掘り起こし、付加価値のある電機・電子産業施策を展開するなど、従来のデバイス・プロセス技術一辺倒に偏っていた産業政策から決別する。これをてこに長らく低迷する国内エレクトロニクス産業の再興につなげたい。
国内電機・電子業界の市況が回復してきた。本紙が集計した国内半導体11社の合計売上高は、2013年度通期で前年度比15%増の4.2兆円、営業利益も比較的好調であった10年度比7割もの大幅増益となりそうだ(本紙2月26日号既報)。東芝は14年3月期のセミコンダクター&ストレージ部門の営業利益が過去最高を更新する可能性が高く、富士電機や三菱電機など国内パワー半導体メーカーの足元の業績改善が急ピッチで進んでいる。
一方、外国政府も自国の半導体などハイテク産業の育成強化に本腰を入れている。中国政府は年間1兆円を超える予算を組み、半導体産業の強化を検討中と伝えられている(本紙3月5日号)。韓国も従来、半導体産業政策で、同国の関連装置や部材産業政策を強力に推進している。日本は、金額の多寡でみれば確かに他国に劣るところもあるが、次の世代で国内電機産業が主導権を取り、稼ぐ産業に再興できる政策がなにより今求められている。
各国の政府補助金や政策との単純比較はできないが、決して国内政府の電機・電子産業に対する補助や予算が金額で劣っているとは思えない。電機・電子関連の所轄の経済産業省・情報通信機器課だけでも14年度に170億円を予算計上しているが、経産省全体では再生可能エネルギーや科学技術イノベーションを推進するための環境整備を含めれば5500億円規模(14年度の産業技術関連予算)にまで膨らむ。
さらには、今後の半導体やデバイスの新たな市場を牽引すると見られる次世代安全運転支援システム(ADAS)向けをはじめ、自動運転化の基盤整備(ITS含む)や介護支援ロボットなどの開発や安全性試験などでは、他の省庁機関も積極的な予算編成を組んでいることは評価できる。
(以下、本紙2014年3月12日号1面)
◇ AUOとイノラックス、合併案が浮上、テリー・ゴー会長が意欲
◇ 昭和電工、半導体ガスを増強 韓国で亜酸化窒素
◇ 海外OSAT主要4社、14年設備投資は12%減、FC/WLP増強に軸足
◇ 韓国半導体、総輸出額の10%強、メモリー戦略で明確な違い、
工場の新増設が相次ぐ
◇ シノチップ、9月からWLP生産、ファブレス企業が組立参入
◇ ナイトライド・セミコンダクター、高効率面発光を実現、光源用の紫外LED
◇ 東芝、モジュールとカプラ、世界最小・最薄を実現、近接無線通信向けに
◇ SMIC 13年業績、過去最高を記録、純利益は7倍強に
◇ 中瑞思創、ICタグを内製化、米RFID企業と合弁
◇ シレゴ、超小型の新FPGA、30素子を1チップに
◇ エルナー 14年の基板事業、大幅な増益見込む、国内投資も再開へ
◇ 日本CMK、13年度は減収赤字に、構造改革を徹底
◇ 日立化成とメルテックス、基板薬品で協業 共同開発も視野
◇ 米テセラ、台湾社と和解成立
◇ TCL 13年業績、売上高23%増収に、パネル内製化が利益貢献
◇ 東旭集団、ガラスの認証取得、BOEとCPTに供給
◇ ミクロ技術研究所、長岡市に新工場、タッチパネルを倍増
◇ GTAT 14年見通し、売上高2倍以上に、アップル向け今春から寄与
◇ AMAT 11~1月期、半導体受注13%増、ファンドリー伸長
◇ エヌピイエス、4探針プローブ、取扱実績40年以上に
◇ JPEA、新PVロードマップ策定、蓄電池・海外展開の重要性指摘
◇ 日本マイクロニクス、新2次電池を初披露、半導体技術を応用
◇ リーシェンバッテリー、武漢にLiB新工場、60億元投じて15年稼働
◇ 吉利汽車、英国企業を買収、EVタクシー生産を視野
◇ セレス・パワー、固体酸化物電池 日本と連携模索