14年半導体設備投資、メモリー投資復活で9%増
DRAM 20nm投資が目下進行中、NAND 3大要素が牽引役に
2014年の世界半導体設備投資は、メモリー分野の投資復活とファンドリー分野での高水準投資の継続により、前年比9%増の563億ドルとなる見通しだ。DRAMでは20nm世代への微細化投資が目下進行中であるほか、NAND投資は現行のプレーナー型投資と新工場建設、そして3D-NANDへの戦略的投資という3大要素が牽引役となりそうだ。また、ファンドリー分野も16/14nm世代に向けたFinFET投資が装置・材料需要を押し上げる存在となる。
足元の設備投資の活況は、半導体製造装置(SPE)各社の装置受注高を見れば一目瞭然だ。韓国メーカーに強い日立国際電気の13年10~12月期SPE受注高は、前四半期比2.4倍となる352億円を記録。同じく東京エレクトロンも前四半期に引き続き1434億円と高水準の受注高を記録した。日立国際でSPE部門を統括する電子機械事業部長の大和田伸郎氏は「ファンドリーやメモリー投資が予想以上に強かった」と明かす。足元では工場での装置生産がピークを迎えており、サプライヤーからの部品調達を無事行えるか危惧するほどだ。
とりわけ、14年はメモリー投資の「当たり年」といえそうだ。メモリー各社の14年設備投資計画を見ても、いずれも軒並み前年を上回る水準だ。韓国大手2社はいずれも今期の詳細な投資額を公表していないものの、米マイクロンはエルピーダメモリを傘下に収めたことで投資額が大きく膨らんでおり、今期(14年8月)は最大で32億ドルを投じる計画。東芝・サンディスク連合もA19nm(1Ynm)世代への微細化投資および四日市工場第5製造棟(Y5)のフェーズ2への本格設備導入が控えていることもあり、大きく前年を上回りそうだ。
DRAMにおいては、14年もキャパシティーの増強投資はほとんどなく、20nm世代への微細化投資が中心となる。14年のビット成長(需要サイド)は20%台と見られ、微細化投資のみで需要を満たせる水準だ。現にサムスンも13年10~12月期の決算カンファレンスコールで「微細化投資に注力する」と言及した。ただし、SKハイニックスがDRAMの新工場(M13)建設を表明するなど、15年からは一部でキャパシティーの増強投資が本格化する見通しだ。
(以下、本紙2014年2月19日号1面)
◇ 国内基板10社、13年度売上高 13%増を展望、イビデンが反転攻勢
◇ 14年ファンドリー投資、3年連続の200億ドル超え、FinFET投資が主軸に
◇ パナソニック、半導体部門を分社化、後工程拠点をUTACに譲渡
◇ STマイクロ、14年投資 5億ドル強、8インチ化投資に充当
◇ イノテラ、14年投資額2倍強 20nm立ち上げに
◇ ルネサス 10~12月期、過去最高の営業利益、構造改革が着実な成果
◇ ローム 4~12月期、売上高は14%増、2度目の通期予想上方修正
◇ ミツミ電機、日立超Lから譲受、LiB関連IC事業など
◇ サムスン電子、シスコと特許契約、相互利用でリスク回避
◇ SKハイニックス、営業利益率24%に、10~12月期は火災で苦戦
◇ フリースケール 10~12月期、利益率改善で増益に、マイコン 年間で17%増
◇ 日立化成 4~12月期、円安効果で増収増益、配線板事業はリストラ
◇ サムスン電機 13年業績、基板は前年比7%減、スマホ向けが低迷
◇ 京セラ 4~12月期、パッケージ9%増収、スマホ軟化で通期下方修正
◇ AT&S 4~12月期、利益が大幅に回復、自動車とモバイルが牽引
◇ シャープ 4~12月期、液晶売上高20%増、通期で1兆円を回復へ
◇ 液晶露光装置、13年出荷は1割増、キヤノンが中小型で新型機
◇ 旭硝子、タイに新設備導入、ソーダライムを増産
◇ アドバンテスト、構造転換で収益強化、損益分岐 大幅に引き下げ
◇ 大日本スクリーン製造 4~12月期、SE・FEとも好調、通期予想を上方修正
◇ トクヤマ、多結晶Si新工場 マレーシアで稼働
◇ シャープ、太陽電池の好調維持、10~12月期 売上高は約2倍に
◇ AIST、CGSの動作原理解明、銅欠乏異相層がn型化