AMATとTEL経営統合、「日本中心の開発体制」に期待
背景に「成長の持続可能性」、未開の領域に踏み込む可能性も
9月に発表されたアプライド マテリアルズ(AMAT)と東京エレクトロン(TEL)の経営統合は、間違いなく2013年における半導体業界のトップニュースだ。発表どおりに進めば、14年後半には製造装置市場で売り上げ規模もシェアも圧倒的な巨大メーカーが誕生する。業界首位と第3位で、装置業界の勝ち組といわれた両社が経営統合という「究極の選択」に至った背景には何があるのか、考察する。
露光装置以外ほとんどの装置でトップシェアを握る新会社の規模は、まさに圧巻だ。エッチング装置や洗浄装置では米ラムリサーチや大日本スクリーン製造に届かないものの、CVD装置では2位に売り上げ規模で3倍近い差を付ける。
VLSIリサーチの調べによると、新会社は半導体製造装置市場で31%、FPD製造装置で18%、太陽電池製造装置で8%のシェアを握る(サービスサポート含む)。業界2位のオランダASMLに売り上げ規模で2倍の差を付け、これを半導体メーカーになぞらえると世界7位の規模に相当する(12年実績ベース)。研究開発費は200億ドル近くに達し、大半の半導体メーカーを上回る。
こうした規模を備えなければいけない背景には「半導体市場の拡大と等しく製造装置市場が伸びていかない」という現実があると考える。00年から現在まで、半導体市場は世界で約10兆円拡大した。だが、前工程装置市場は3兆円前後を行ったり来たりしており、ほとんど伸びがないのだ。
本紙の調べによると、00年は、半導体市場2010億ドルに対し、前工程装置市場は320億ドルあった。両者を割った比率は16%。だが、以降は右肩下がりの傾向にあり、12年の比率は10%に満たなかった。
次世代プロセスに要する設備投資や研究開発費が巨額になり、先端投資を続ける半導体メーカーが絞られ、装置のスループットが高まった結果であるが、市場が伸びないなか「業界内で高シェア」という地位に安住しているだけでは今後の成長はない、というのが統合の背景ではないか。
両社がこれから進める作業が独占禁止法への対応だ。圧倒的なシェアを持つがゆえに継続事業と非継続事業を選別する作業が不可欠で、この作業には多くの時間を要するはず。ここで非継続と判断され、切り出される事業や装置が14年以降、装置市場の再編第2幕のきっかけになる。
(以下、本紙2013年12月4日号1面)
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