STT-MRAM、車載も視野に拡大一途
高速動作と信頼性確保、遠藤氏率いる新会社に注目
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(略称CIES)のセンター長を務める遠藤哲郎教授たちのグループは、新たな4重界面磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)の開発に成功し、その製造技術についても確立にこぎ着けた。この成果により、STT-MRAM(スピン注入型磁気抵抗メモリー)に求められる高速動作の実証と、データ書き換えの信頼性を確認したのだ。STT-MRAMは、IoTからAIまで応用領域が一気に拡大しているが、車載用途も視野に入ってきた。いよいよSTT-MRAMの実商業化への道が大きく開かれた。
遠藤哲郎教授は、東京大学理学部物理学科を卒業後、東芝に入社。ULSI研究所においてNANDメモリーおよび3D構造デバイス技術の開発に従事し、数々の事業化に貢献してきた。1995年に東北大学電気通信研究所に着任し、工学研究科教授として活躍されたが、2012年10月に東北大学に国際集積エレクトロニクス研究開発センターが立ち上がるとともに、センター長に就任した。
12年には第6回応用物理学会フェローに選ばれ、16年には第14回産学連携功労者表彰「内閣総理大臣賞」を受賞。17年には、東北大学リサーチプロフェッサーの称号を贈られた。また、その年に全国発明表彰「21世紀発明奨励賞」を受賞し、東北大学において「総長特別賞」を受賞するなど、数々の栄誉に輝いている。
東北大学の国際集積エレクトロニクス研究開発センターは材料、装置、プロセス、デバイス、回路、システムなどの多岐にわたり、国内外の企業や地方公共団体などと連携して、積極的な数々の活動を行っている。産学共同研究、大型国家プロジェクト、地域連携プロジェクトから成るCIESコンソーシアムを立ち上げてきたのだ。
「CIESの研究開発分野は今やスピントロニクスからAIハードウエア、パワーエレクトロニクス、さらにはマイコンなどの分野に展開しており、画期的な次世代メモリーであるMRAMの領域をさらに拡充している。これまでに世界最高性能となる多様な革新的技術の開発に成功している。5G高速時代にあっては、AI、データセンター、自動車などの分野において、圧倒的な超低消費電力が要求されるが、これに貢献できる技術を何が何でも作り上げるというのがミッションである」(遠藤センター長)。
(以下、本紙2020年10月29日号1面)
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