電子デバイス市場予測、スマホ市場 「秋雨前線」接近
ローエンドも調整局面、求められる「ポストスマホ」
本紙は、半導体/ディスプレーなど電子デバイスに関する長期市場予測をまとめた。足元は総じて堅調ながらも、これまで牽引役であったスマートフォン(スマホ)市場には、ハイエンドスマホの成熟化、ミドル/ローエンドの一時的な調整局面により「秋雨前線」が接近中だ。スマホ市場の成長に陰りが見えるなか、自動車や医療、ロボットなど新市場にも目が向けられるが、やはり大票田のスマホ市場を補うまでには至らない。スマホ市場の成熟化を前に、今後業界全体で「ポストスマホ」を探していく必要がありそうだ。
足元の市場環境を総括すると、パソコン市場の低迷をスマホ・タブレット市場が補うかたちが続いている。スマホ市場は2013年に前年比約2割増となる9億台強、タブレットも8割増となる2.5億台前後の出荷が見込まれている。
スマホ市場の拡大は年々、ミドル/ローエンドによるところが大きくなっている。先進国で普及が一巡してしまい、現在は中国やインド、南米など新興国に成長の大部分を委ねる構図になっている。13年初頭のiPhoneの生産調整、そしてGalaxy S4の販売不振はこの象徴的な事例といえる。
しかし、頼みの綱のミドル/ローエンド市場も一時的な調整局面に陥りそうだ。震源地は、今年3億台を超える市場を形成する中国市場。シャドウ・バンキングなどの問題で中国経済は減速感を強めており、今後こうした問題が個人消費の減退を招く恐れがある。
すでに懸念は一部で表面化しており、中国スマホ向けTDS-CDMAで急成長を遂げている中国スプレッドトラム・コミュニケーションズ(展訊通信)の4~6月期業績が業界内での大きな話題となった。
(以下、本紙2013年9月4日号1面)
◇ 富士電機 パワー半導体事業、3年で投資330億円、松本工場に開発棟新設
◇ SMIC、13年投資6.75億ドル、北京300mm新工場を具体化
◇ SKハイニックス、本社に分析センター、プラズマ装置も国産化
◇ 富士電機 パワー半導体事業、15年度まで10%成長、モジュール新製品を強化
◇ 新日本無線 4~6月期、半導体が増益牽引、全セグメントで販売好調
◇ ソニー、フェリカでお薬手帳、川崎で試験サービスへ
◇ 半導体商社上位10社 4~6月期、7社が2桁増収を記録、デザインサービスで
利益率向上
◇ ams 4~6月期、6割の大幅減益に、PMICなどが好調
◇ 韓国半導体大手2社、4~6月期は利益率20%超、モバイル市場の先行きに懸念、
中国勢の追い上げに不安も
◇ ペレグリン 4~6月期、増収も連続赤字に、CA用スイッチを初出荷
◇ RFaxis、コンボRFeIC、ピュアCMOSで実現
◇ 日本CMK 4~6月期、大幅な減収で赤字に、通期では黒字転換見込む
◇ ペガトロン 1~6月期、純利益が6割増に、タブレットなど新製品寄与
◇ BOE 1~6月期、売り上げ7割増に、8.5G工場フル稼働が貢献
◇ TPVテクノロジー 4~6月期、TV不振で赤字に、在庫調整を最優先
◇ 中国のテレビ用パネル、15年に国産化率50%へ、3年間で8.5G 35万枚の投資計画
◇ 日本通運、防振パレットを開発、特殊なバネで振動吸収
◇ クラレ、光学・電子材料を増産、鹿島と西条事業所を増強
◇ 東レ・ダウコーニング、放熱材料を発売 粘弾性を最適化
◇ 中国政府、電動自転車の規制改正へ、LiB搭載率拡大に期待
◇ 三菱樹脂、セパレーターを強化、15年に世界シェア10%狙う
◇ EMPA、銅ドープで高効率化、フレキシブルCdTe電池