SSD市場、産業機器用にもTLC採用か
付加価値のつけ方が重要に
NAND型フラッシュメモリーを使用したストレージのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)に注目が集まっている。従来、スマートフォン(スマホ)や携帯電話などの組み込み用途の主力ストレージとしてNAND市場は拡大してきたが、スマホの成長が徐々に鈍化し始め、1台当たりの搭載容量も伸び悩んでいる。新たにNAND市場が拡大するためには、次なる強力なアプリケーションが望まれている。
その期待を一身に集めるSSDだが、最も台数増が見込まれるのは、薄型ノートパソコンなどのPC端末向け。タブレット端末も魅力だ。さらには、産業機器向けやデータセンターのサーバー向けなど、高性能で高信頼性が要求される分野での成長も後押しする。
また、従来のHDDにフラッシュメモリーを搭載し、それぞれの長所を引き出したハイブリッドドライブと呼ばれる新たな記憶媒体も登場し、市場に活気が出ている。
従来のSSDの製品開発ポイントは、いかにして不良を無くすか、寿命を延ばすかといった点に力点が置かれていた。しかしここに来て、いかにパフォーマンスを向上するか、いかに付加価値をつけるかといった点に力点が移ってきた。そのため、各社は製品のラインアップを拡充したり、ハイブリッドドライブなど新たな製品コンセプトの提供を開始している。
現在、SSDはNAND市場の2割を消費するが、3年後には4割まで拡大し、スマホや携帯のそれを追い越すと見られる。フラッシュの微細化に加えてMLCやTLCといった多値化技術の適用によって、戦略的にギガバイト(GB)当たりの単価を引き下げ、HDDの代替を加速しようとしている。SSDをめぐる有力企業の最近の取り組みを追った。
(以下、本紙2013年4月3日号4面)
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◇ 神戸製鋼・コベルコ科研、IGZO用に新材料、耐酸性の高いターゲット材
◇ 篠田プラズマ、シプラの標準品を発売、拡販へ本社工場を増強
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◇ GCL、サファイア事業を売却、テラクリスタルが工場取得へ
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◇ AMEC、MOCVDに参入、中国チップメーカーに出荷
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エネルギー密度 従来の3倍
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◇ 昭和電工、LiB負極用のバインダー量産