中国、IGBT量産本格化
海外企業買収で高速鉄道用も、エピウエハーから一貫生産へ
これまでパワーディスクリート中心だった中国のパワー半導体製造は、ついにIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の量産時代に入った。人件費やエネルギー価格の上昇が省エネ需要を喚起し、国産サプライチェーンが整いつつある。一気にハイエンド化を目指す、中国メーカーの取り組みを追う。
中国は過去10年間、「世界の工場」として家電製品や自動車、産業機械などの製造を拡大してきた。生産増に伴って電源ユニットの需要も右肩上がりで上昇し、パワー半導体の需要は2桁成長が継続。その結果、中国のパワー半導体市場は240億人民元(約3000億円)に達し、2015年には330億人民元(約4200億円)に拡大する勢いだ。なかでもIGBTは16.5億人民元(約210億円)市場となり、15年まで平均10%前後の成長が続くと期待される。
近年は中国でも人件費やエネルギー価格の上昇が経営や生活を圧迫し、省エネに対する需要が高まっている。政府は「節能恵民」という省エネ家電の販売補助金制度を実施し、エアコンや冷蔵庫などに最大400人民元(約5000円)の補助金を支給している。これが追い風となり、エアコンは年間販売台数5600万台のうち、インバーター化率が40%近くまで上昇する見通しだ。
産業界もまた、生産現場の省エネ化を推進。電力使用を効率化する汎用インバーターの導入が拡大しており、太陽光発電やLED照明の利用も増えようとしている。
パワー半導体の需要増に呼応し、中国でもパワー半導体の製造が拡大している。パワーディスクリートやパワーMOSFETに加えて、IGBTを生産する半導体工場も現れている。
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