IGBTモジュール、実装材料・形態に変化
SiC登場で材料から見直し、部材メーカーに商機到来も
パワー半導体モジュールの実装材料や形態が大きな変わり目にある。IGBTの高パワー密度化に伴う進化によって、パッケージにはより小型化と高放熱対策が求められ、高耐圧・大電流となるチップの電極接合は、太線アルミワイヤーからCuリードなどに置き換えられつつある。放熱特性や電気特性の一段の向上が期待されるからだ。さらに、ジャンクション温度が250℃以上にもなるSiC(炭化ケイ素)ベースのトランジスタも登場。既存の封止樹脂やはんだ材料では耐熱性の限界を超える問題が指摘されており、実装材料メーカーなどに大きなインパクトを与えそうだ。しかし、いち早く市場ニーズに応えられた部材メーカーには新たな商機が到来することは間違いない。
■4年後に200億米ドル
低炭素化社会実現に向けた取り組みが強化されるなか、ハイブリッド(HV)/EVといった環境負荷の少ないエコカーが売れている。節電や省エネルギー化意識も世界的に高まっており、インバーターエアコンなどに人気が集まる。これらの中で活躍しているキーデバイスが、IGBTやパワーMOSFETといったスイッチング機能を持ったパワー半導体である。
このためパワー半導体の市場規模は、米ガートナー社によれば、146億米ドル(2011年)から、16年には200億米ドルを大幅に上回る規模に拡大するとしている。なかでもIGBTは安定成長を続けるとみられる。しかし、12年いっぱいは中国経済の低迷などで厳しい市況が続きそうだ。
■変わるモジュール
より高耐圧・高パワー密度化が要求されるHV/EVの登場で、高放熱特性に優れたパッケージ開発の動きが顕著になっている。さらに発熱の大きなSiCなどが登場してくれば、パッケージ開発のハードルは格段に難易度が引き上がる。
これまで主流だった太線のアルミワイヤーボンディングから、車載用途では平板状のCuリードやCuワイヤーボンディング技術などへの移行が始まった。電流値を大きく取るため、表面積をできるだけ広くして放熱特性を改善する手段が有効とされる。
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