電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第410回

(株)SCREENホールディングス 代表取締役 取締役社長(CEO) 廣江敏朗氏


半導体装置は強い需要続く
21年度は総じて増収基調

2021/1/29

(株)SCREENホールディングス(京都市上京区堀川通寺之内上ル4天神北町1-1、Tel.075-414-7111)は、2021年を成長の年と位置づける。コロナ禍においても好調な需要が続く半導体市場に加え、ディスプレーやプリント基板市場においても設備投資の活性化により販売拡大を見込む。20~23年度を期間とする新中期経営計画では、既存事業の深耕に加えて新事業にも取り組む。代表取締役 取締役社長(CEO)の廣江敏朗氏に話を聞いた。

―― 足元の業績動向と今後の見通しから。
 廣江 20年度は売上高を前年度比3%減の3135億円、営業利益を同43.3%増の180億円と予想する。売り上げおよび収益改善は計画どおりに進んでおり、通期業績はほぼ計画を達成できるとみている。
 半導体製造装置事業(SPE)は、5Gやリモート関連市場の活況を背景に強い引き合いが続いており、20年度第3四半期の受注は想定を上回りそうだ。第4四半期の受注も強い状態が続く見通し。その流れを受け、21年度上期はポジティブに推移すると予想する。下期はやや不透明感があるものの、メモリー、特にDRAM投資の回復を期待している。通期では増収を確保できる見通しだ。
 ディスプレー製造装置および成膜装置事業(FT)は、20年度第3四半期に有機ELの新規投資案件を受注した。第4四半期も継続して受注獲得を図る。21年度は設備投資需要の回復に20年度からずれ込んだ案件が加わるため、売り上げ拡大を見込んでいる。
 プリント基板関連機器事業(PE)は設備投資需要抑制の影響を受けたが、足元では5G関連の引き合いが強まっており、今期計画の達成が見込まれる。グラフィックアーツ機器事業(GA)は、欧州市場におけるロックダウンが影響して苦戦した。
 高水準の需要が続く半導体市場に加え、ディスプレーやプリント基板市場も21年は設備投資が回復に向かうと想定しているため、21年度は各事業とも総じて強含みとなる見込みだ。

―― 事業別の取り組みについて。まずSPEから。
 廣江 SPEは、洗浄装置のさらなるシェア拡大を中期経営計画の目標の1つに掲げている。そのためBEOL、MOLといった現状シェアを獲れていないプロセスへの採用を図る。
 20年12月にはブラシと薬液洗浄をハイブリッド化した洗浄装置など2機種の新製品を投入したが、これはEUVのバックエンド周辺などのプロセスをターゲットとしている。最先端領域に求められる特定プロセスに特化した装置をラインアップして、新規採用を伸ばしていく。
 一方、主力の枚葉式洗浄装置では、新技術をユニットとして追加することで最先端プロセスニーズに対応する。3nm以降の微細化領域をターゲットとした技術をラインアップし、顧客の評価を受けている。顧客の多様なニーズに対応可能な洗浄技術を揃えて高シェアの確保を図っていく。

―― 中計ではポストセールス事業の拡大も目標に掲げている。
 廣江 競合他社に比べ、ポストセールスの売上比率が低いことが課題だった。そのため中古機販売や改造ビジネスの拡大を図るべく、プロジェクトを立ち上げて検討を行っている。洗浄装置は薬剤などで部品が汚染されているため従来は廃棄されており、中古市場が成立していなかった。ここに当社のチャンスがあるとみており、中古機ビジネスの立ち上げを目指す。
 一方、改造ビジネスはこれまでユーザーに十分なメリットを提案できていなかった反省を踏まえ、専門組織で歩留まり向上などの具体的なメリット提案を強化している。すでに成果が出てきており、20年度下期以降に実績として積み上がってくる見通しだ。

―― FTの取り組みは。
 廣江 有機ELのローラブルニーズの高まりに対応し、関連装置のラインアップを拡充している。有機ELに特化したコーターデベロッパー「SK―Eシリーズ」において、従来のバックプレーン、ポリイミド膜、タッチセンサー形成用に加えて、カラーフィルター形成用装置をラインアップした。今後もコア技術であるコーティングを応用し、様々なアプリケーションに対応していく。テレビ向け大型有機ELパネルが次の投資の山になるとみており、(株)JOLEDとパナソニックプロダクションエンジニアリング(株)との協業を通じ、印刷方式による有機ELの製造技術開発に取り組んでいる。23~24年度の量産機納入を見込む。
 FTでは新規領域として、エネルギー分野の事業化にも取り組んでいる。パートナーと共同で、全固体電池や燃料電池へのコーター応用を目指して開発している。中計期間中の売り上げ寄与を目指す。

―― SPE生産工場の稼働状況と今後の見通しは。
 廣江 彦根事業所(滋賀県彦根市)の新棟「S3-3(エス・キューブ スリー)」は20年末からほぼフル稼働の状態が続いている。今後も高水準の需要が続くため、20年度内に生産用設備やツールを増強して対応する。21年度も継続して需要拡大が続くようであれば、設備とともに人員も増やして能力を拡充することを検討する。

―― FTの生産体制は。
 廣江 彦根事業所のディスプレー装置生産棟は、10.5G用装置の出荷を終えたことで少し余裕が出ている。空きスペースは有機EL用装置やエネルギー関連装置の生産に活用していく。また、中国向けがさらに拡大していくなかにあってもキーユニットを彦根で、他ユニットを中国常熟の工場で組み立てる体制は変更しない。キーユニットをブラックボックス化して国内に残すことで、競争力を高めていく。

―― 新規事業に関する取り組みを。
 廣江 ライフサイエンスと検査計測の2分野の事業化を進めている。ライフサイエンスでは錠剤印刷装置が好評で、コロナ禍においても一定の売り上げを確保できている。今後、医薬関連に向けた装置ラインアップを拡充したい。
 検査計測装置は自動車のエンジン部品向け外観検査装置を製品化しているが、自動車市場の悪化や電動化トレンドで投資意欲がトーンダウンしている。このためエンジン部品以外、あるいは自動車以外の新たな領域への検査工程の省人化ニーズ対応を図っていく。

―― さらなる新規テーマ拡充を目指している。
 廣江 20年4月にホールディングス傘下のマーケティング部門を再構築し、強化した。市場環境や自社の立ち位置を踏まえ、既存事業の発展形から新領域の開拓まで、全社横断的な新規テーマの選定・提案を行う。20年度に2つのプロジェクトを立ち上げ、21年度にはもう1つ増やす計画だ。2~3年後をめどに事業化の是非を検討する。内部でプロジェクトを立ち上げ、歩留まりを管理する体制を整備し、有望な新規事業の立ち上げにつなげたい。

(聞き手・中村剛記者)
(本紙2021年1月28日号1面 掲載)

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