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第248回

(株)SCREENファインテックソリューションズ ディスプレー事業統轄部 技術部 部長 小笠原光雄氏


ディスプレー後工程へ商品群拡大
LiBなど新規分野にも注力

2017/11/17

(株)SCREENファインテックソリューションズ ディスプレー事業統轄部 技術部 部長 小笠原光雄氏
 (株)SCREENファインテックソリューションズ(京都市上京区堀川通寺之内上る四丁目天神北町1-1、Tel.075-417-2504)は、製造装置大手の(株)SCREENホールディングスのなかで、ディスプレー用製造装置を手がける中核会社の1つだ。得意としてきたウエット&コーティング技術に加え、近年はドライ成膜技術にも取り組み、リチウムイオン電池(LiB)などのエネルギーやライフサイエンス、検査計測といった新規分野への応用展開に注力している。ディスプレー事業統轄部 技術部 部長の小笠原光雄氏に話を聞いた。

―― 液晶用コーターデベロッパーで世界シェア7割を獲得しています。
 小笠原 当社はもともとコーティング技術を得意としてきたが、2003年に投入したスリット式塗布システム「スリットコータ」が高い評価を受け、04年からトップシェアを守っている。10年にはガラス基板をステージに吸着しないエア浮上搬送方式の「レビコータ」も実用化し、現在もディスプレー各社の旺盛な設備投資に伴って、TFTアレイ用、カラーフィルター用ともに多くの引き合いをいただいている。10.5世代用装置の開発もほぼ完了し、受注に向けた対応を進めている。

―― 新製品のポリイミド(PI)コーターを展開しています。
 小笠原 第6世代ガラス基板を用いたフレキシブル有機ELの量産に対応する「SK-P1500G」を16年に商品化した。すでにかなりの納入実績を上げており、現在も中国などから引き合いを得ている。
 これに加え、この装置の後段にあるPI乾燥工程用にキュアオーブンを開発中だ。従来はオーブンを外部購入してPIコーターとセットで納入していたが、今後は内製化によって洗浄~PI塗布~乾燥の一貫システムとして提供できるように開発を進めている。

―― 5月に(株)SCREENラミナテックを設立し、7月にFUKから事業を譲り受けました。
 小笠原 FUKはもともとラミネート技術が得意で、カバーガラス貼り合わせ装置などディスプレー製造の後半工程で高い評価を得てきた。有機ELの製造工程においては前述のPI製膜技術との関係性も高く、実際、フレキシブル有機EL形成後、キャリアガラスからPIフィルムを剥離する工程にはSCREENラミナテックが装置を提供している。

―― 新規分野について。
 小笠原 先述のPIコーターに加え、ファンアウト型のPLP(Panel Level Package)向けコーターデベロッパーを商品化した。また、低インダクタンスアンテナ(LIA)プラズマ技術を搭載したCVDやスパッタなどの大型基板ドライ処理装置も開発した。現在は主に建材向けなどに提案しているが、今後はフレキシブル有機ELのバリア膜形成にも応用できるとみている。

―― 新規分野のなかでも期待が高いのは。
 小笠原 LiB用のロール・ツー・ロール電極材料塗工乾燥装置だ。スリットコータを用い、最大幅700mmの基材に最大膜厚300μmで電極材を塗工・乾燥できる。ノズルと基材のギャップや傾きを入力するだけで簡単に膜厚を微調整できるため、作業者のスキルを問わずに膜厚を均一化できる。
 また、SCREENラミナテックが持つフィルム基板のフルカット、ハーフカット、穴あけ加工などの技術と融合すれば、LiB製造を一貫で行える新しい製造ソリューションが提案できる。
 電気自動車の増加などに伴い、今後は大型ラインへの引き合いが増えてくると期待している。

(聞き手・編集長 津村明宏)
(本紙2017年11月16日号6面 掲載)

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