商業施設新聞
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No.330

コンビニスイーツ


松本 顕介

2011/8/16

 その数、全国4万3000店を超え、1日に12億人が利用するコンビニエンスストア。すでに「社会インフラ」と言われて久しい。僻地への出店や高齢者のニーズに応える品揃え、そして先の東日本大震災でもその役割の重要性が改めて認識されたといっても過言ではない。今後もますます進化を遂げて行くであろう。

 進化するコンビニ、その代表例の1つがスイーツだ。あの価格で、あのクオリティを実現している。新作も相次いで投入される。甘いものが欲しくなる夕刻、近くのコンビニにふらりと寄ると、シュークリームやロールケーキ系などに目移りし、ついつい手にしてしまう。
 コンビニスイーツの注目度は高く、テレビ番組でも頻繁に取り上げられ、特集企画モノも多い。商品化までの苦労話や道のりが紹介され、スイーツ工場にカメラが入り、全工程がオール自動化でコストや人的ミスを排除しているかと思いきや、意外にも手作業工程もあったりする。

 そして、その後はお待ちかね。スタジオで出演者が一斉に紹介されたスイーツをほおばり、異口同音に「うまい」を連発する。「明日はあの商品を試してみるか」という気にさせられる。開発担当者もスタジオに集結し、その評価に一喜一憂する。そして開発者からは、新商品の開発構想が披露される。
 街のあらゆるところにあり、生活を支え、番組としても十分成立する。まさに社会インフラだ。恐るべしコンビニ。

 だが、かねてから気になることがある。その“うまい”が高級スイーツを口にした時と同じに映るのは自分だけか。ご当地モノから、セレブの隠れ家的レストランとあまたの料理を紹介する番組があるが、口にした後、やや間をとって「うまい」というのがうまさの尺度を測る常套手段、うまさ表現の方程式だ。しかし、「リアクションが同じだぞ」とつっこみたい。
 自分にとってコンビニスイーツは、やっぱり「おやつ」の域を出ないのだなあ。自分の席で「うまい」と大声を出していたら、さぞかし迷惑だろう。だが、この値段でこの味、そして近くで買えるという、まさに“コンビニエンス”。お手軽なおいしさはありがたい。間もなく食欲の秋。次の高級おやつの新作に期待する。

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