商業施設新聞
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No.325

水遊び


大塚 岳史

2011/7/12

 暑い夏がやってきた。節電の折、昨年までのようにクーラーの効いた部屋でゴロゴロ寝転んではいられない。では「プールにでも行くか」と思っても、幼児を抱える身としてはただノンビリと水に浮かんでいるわけにはいかない。そこで、今夏はやっぱりお風呂場で子供と一緒に「水遊び」することになる。

 先日、水遊びの遊具を求めて玩具店へ行った。仕事での“記者の眼”から父親としての“消費者の眼”になって、売り場を眺めながら遊具を物色。まず、水鉄砲のコーナーに行くと、マシンガンのような形をした巨大な水鉄砲がズラリと並ぶ。アウトドア向きだが、もちろん家のお風呂では不可。従来の小さな水鉄砲があることを確認するも、カゴに入れるのは後回しにして、とりあえずほかの商品も見てみようと、売り場を転々とした。
 「キャラクターものが多いなあ」「野球盤、まだ売ってるんだ」などとつぶやきながら、1時間ほど店内を歩き回った。しかし、豊富な商品に圧倒されはしたものの、結局、手ぶらで店を出た。

 子供が遊ぶモノはあっても、子供と一緒になって遊びたいというモノがなかった、というのが個人的な感想。もちろん、親子で、また子供同士でも遊べるが、商品を手に取った時、頭に浮かんだのは子供が1人で遊んでいる姿。その姿も、良い子で大人しく遊ぶ姿で、大声で笑いながら、はしゃぎ回る姿は想像できなかった。
 私は、「知育」という言葉に共感しており、遊びながら学び、育むということはとても大切なことだと思っている。しかし、単純に「遊ぶ」ということも大切だと思う。キャラクターグッズや、はでやかな遊具、高機能なおもちゃも面白いが、もう少し単純な遊具があっても良いのではないだろうか。

 今夏初めての子供との水遊び。遊具は、まだ外で使っていないシャベルと洗面器だけ。しかし、30分以上にわたり大声で笑いながら遊んでいた。シャベルで水をすくい、洗面器に移すだけでも、自然と工夫を凝らし、上手にすくえると大喜びする。両手で作る水鉄砲も、私の真似をしながら、しばらくすると自分でもできるようになっている。最後は、二人でバシャバシャと水のかけあいっこ。これが最も楽しかったようだ。
 子供の頃を振り返れば、楽しかった思い出はすべてと言っても良いほど「遊び」のこと。単に勉強で褒められたことがないからかもしれないが……。
 さて、次はどんな遊びをしようかと昔の遊びを思い出しながら、夢の中へと誘われた。
当面はシャベルと洗面器で水遊び
当面はシャベルと洗面器で水遊び

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