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Report15

大同病院、新B棟(1期)竣工で救急年5000件、320列CTを併設


2期で放射線治療棟、吉川理事長「将来はアイソトープ病棟も整備」

2014/7/29

 (社医)宏潤会 大同病院(名古屋市南区白水町9、Tel.052-611-6261)は、A棟の隣接地に建設していた新B棟(1期工事)を竣工させ、先ごろ、内覧会を開催した。1期工事では救急医療の拡充、最新医療機器の導入、無菌病室の新設などに取り組んだほか、ホスピタリティーの追求や病院運営の効率化も図っている。
 新B棟は建築面積3654m²(2期工事も含む)、7階塔屋2階建て延べ1万4446m²(同)の規模で、既存のA棟や老人保健施設などを含めると、同病院の建築面積は7427m²、延べ床面積は3万6217m²に増える。また、新B棟の病床数は128床で、A棟の276床と合わせて404床となる。設計・監理は(株)日建設計が、施工は(株)大林組 名古屋支店が担当した。
 建設コンセプトは、(1)「人にやさしい病院」、(2)「災害に強い病院」の2つを掲げている。(1)では《高度急性期医療への対応》として救急医療の拡充、最新医療機器の導入、無菌病室の新設、《ホスピタリティーの追求》として全室個室による病棟、癒しの空間づくり、《病院運営の効率化》として管理部門を1つのゾーンに集約、《環境への対応》としてガスコジェネレーションによるクリーンエネルギー化の拡大に取り組んだ。
 (2)では《ライフラインの強化》として自家発電能力の増強、エネルギー機器や受水槽を2階以上に設置、《大規模災害への対応》として屋上ヘリポートを新設、災害拠点病院レベルの耐震性確保、液状化への対応を実施した。
1階に設置された東芝製の320列CT
1階に設置された東芝製の320列CT
 フロア構成として、1階は救急センター(中央処置室、処置室、診察室)、内視鏡室(5室)、CT室、アンギオ室、アメニティホールを配置し、2階には医局、事務局、図書室、応接室、会議室、更衣室、研修カンファレンス室、実習室を設ける。3階は、ICU(6床)のほか、リハビリテーション機能訓練室や検体検査室、歯科口腔外科や麻酔科(ペインクリニック)といった外来部門も設置している。4~7階は病棟で、4階には病棟(26床)のほか、NICU(6床)も整備。5~7階の病棟は、10床単位の3ウイングで構成され、全室個室となっており、7階の西側には無菌病室(2室)も設置している。
 1階の救急センターは、直線の廊下に面して救急処置室や中央処置室などが並んでおり、処置室は6室、診察室は7室、感染症に対応する診察室は2室を設けている。また、放射線科や内視鏡センター、生理検査部門も1階に集約し、救急センターと直結。さらに、専用のエレベーターで、3階のICUや手術室のほか、屋上のヘリポートにも繋がっている。
1階に設置されたフィリップス製のアンギオ
1階に設置されたフィリップス製のアンギオ
 最新医療機器の導入に関しては、救急処置室に最も近い位置にCT室を設け、東芝製の320列CTを導入。1回転で160mmという広範囲の撮影を可能にした320列面検出器を搭載しており、放射線被爆や造影剤の使用量も大幅に低減。さらに、3D画像に時間軸を加えた画像表示や4D画像が可能となり、今までの形態診断に「機能診断」や「動態診断」が付加され、CT検査の適応が拡がり、特に心臓・循環器検査では絶大な効果が得られる。同じ1階フロアには、アンギオ室も設けており、フィリップス製のアンギオを導入している。この装置は国内で初めて導入される最上位機種で、ダブルCアーム構造を採用しており、先端画像処理技術により、リアルタイムでフレキシブルな画像調整が可能。高速回転撮影のほか、インターベンション支援機能やナビゲーションツールも搭載できる。同病院では冠状動脈の詰まりを治療するための専用装置として利用する方針だ。
 病床に関しては、3階にICUを、4階にはNICUを配置している。ICUは4床の大部屋と個室(2室)を用意しており、特定集中治療室管理料1に対応しているほか、1ベッドあたり20m²を確保。NICUは5床の大部屋と、奥に隔離室を設けており、最大10床に対応可能なスペースと医療設備を備えている。また、病棟の各階には、スタッフステーションに面して重症個室(各1床)を設け、同個室は緊急入院にも対応。7階の無菌病室は白血病などの疾患に対応しており、水平層流無菌ユニットによって、清浄度はクラス1000を確保している。
看護スタッフが所持するモバイルステーション
看護スタッフが所持するモバイルステーション
 病棟が全室個室となっているため、病棟の受付は、コンシェルジュのようなつくりを採用。看護スタッフはベッドサイドに常駐し、作業時のみスタッフステーションに戻るという仕組みになっている。看護スタッフは、モバイルステーション(写真参照)というワゴンを所持し、その中に点滴や応急処置道具を入れ、病床とスタッフステーションを行き来する。患者のデータに関しては、モバイルステーションに搭載されたノートPCに入力され、NEC製の電子カルテシステムにより常に最新のデータが共有できる。
 病室は幅が約3.2m(内法)で、眺望の良いコーナーウィンドウを採用。加えて全室に介助しやすいシャワー付きトイレユニットを装備している。そのほか、癒しの空間づくりとして、1階にアメニティホールを設けており、エントランスラウンジとしての役割だけでなく、様々なイベント対応や、患者の待合スペースとしても活用できる空間となっている。
 病院運営を効率化するため、2階の管理部門は理事長室、院長室、医局、看護部、事務局を一体化したつくりで、中央にはコミュニケーションスペースとなるラウンジおよび打ち合わせコーナーを設け、部門の壁を取り払い、より効率的なチーム医療の実践を目指す。環境面では、ガスコジェネによるクリーンエネルギー化の拡大のため、新たに305kWの発電機2台と360RT排熱投入型冷温水機を設置し、CO2排出量を15%削減するほか、省エネルギー率24%の達成を目標に掲げている。なお、1期は14年7月16日に一部稼働を開始しており、8月1日に全面開院する。
吉川公章氏
吉川公章氏
 2期工事では、1階に放射線治療室、MRI室、アンギオ室、2階に医局、カンファレンス室、防災倉庫など、3階には麻酔科、歯科口腔外科、MEセンターを整備する。放射線治療室にはトゥルービームを搭載したリニアックを1台設置し、MRI室にMRI1台、アンギオ室にはアンギオ1台を新規に導入する予定。そして、15年10月には全体の建て替え整備が完了する。
 新B棟(1期工事)の竣工にあたり、同病院の吉川公章理事長は、「1期の完成で、年間4000件の救急搬送件数を同5000件まで増やしたい」とコメントし、「将来はPET-CTの導入や、アイソトープ病棟の設置も実現したい」と抱負を語っている。
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