■発刊趣旨とご購入のご案内

　2013年の太陽光発電（PV）市場では、従来、世界市場の7割以上を占めていた欧州市場が経済危機の影響などで低迷した一方、中国、日本、米国など、欧州以外の市場が大きな躍進を見せました。なかでも日本市場は、12年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度（日本版FIT）の開始を契機に到来した空前のメガソーラー（大規模太陽光発電所）ブームのおかげで、前年比倍増近い急成長を遂げており、中国市場に次ぐ規模に達しています。この勢いは14年以降もしばらく続く可能性が予測されています。
　また、リーマンショックの時期から続いていた世界的な太陽電池の供給過剰もようやく解消されそうな状況となっており、しばらく凍結していた設備投資を再開する動きも出てきています。米国の調査会社、IHSグローバル社では、世界の太陽電池産業の設備投資（セル、モジュール、インゴット、ウエハー、およびポリシリコンメーカーの設備投資の合計）は14年には久々の回復基調となり、前年比30％増の29億5700万ドルに達すると予測しています。
　一方では、課題もまだまだ残されています。日本版FITの買取価格は、今でこそ太陽光発電事業参入に有利な買取価格が設定されていますが、中長期的には欧州のように価格引き下げも予想されるため、太陽光発電関連企業にはさらなるコスト削減が求められます。また究極的には、FITのような普及支援策がなくても成長できるよう、コスト低減だけでなく太陽電池のさらなる変換効率アップが不可欠となります。それに向けて、参入各社は一層の研究開発強化に余念がありません。さらに、設備認定を受けても着工しない「塩漬け物件」問題や、メガソーラーを受け入れる側の系統電力網強化など、太陽光発電の一層の普及に向けて解決すべき課題は山積しているといえます。
　本書『太陽光発電産業総覧2014』では、全世界の太陽光発電市場を舞台に、積極果敢な戦略を進める国内外の有力企業の最新動向をレポートしています。巻頭特集では、日本におけるメガソーラー計画の最新動向を一覧表として掲載するとともに、FITの動向も踏まえて今後のメガソーラー市場を展望しています。また、日本や中国、台湾、韓国など世界の太陽電池メーカーの最新動向のほか、ポリシリコン、封止材、バックシートなどの主要部材、ワイヤーソーやCVD装置、レーザーパターニング装置、ソーラーシミュレーターなどの製造装置や検査装置、パワーコンディショナー、蓄電デバイス、さらにはシステムインテグレーターや発電事業者に至るまで、サプライチェーンに不可欠な有力企業の最新動向を取り上げています。そのほか、世界の太陽電池メーカーのランキングなども掲載しています。
　弊社は、半導体産業唯一の専門紙である『半導体産業新聞』、およびスマート社会構築を目指す環境エネルギー産業の最新動向をレポートしている『環境エネルギー産業情報』を発行しており、太陽光発電に関してはその両媒体のシナジーを活かして動向を追いかけております。本書はそんな両媒体の編集に携わるスタッフの執筆によるものであり、速報性を重視し取材・編集しました。読者諸賢のご批判、ご叱正、ご助言をお願い申し上げる所存です。

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■内容構成