商業施設新聞
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第112回

盛岡ターミナルビル(株) 代表取締役社長 田口信之氏


「フェザン」改装で売上高30%増へ
食を充実、若者向けなど奏功

2018/1/16

盛岡ターミナルビル(株) 代表取締役社長 田口信之氏
 地方都市の人口が減っていく一方で、駅前などの中心市街地に人口が集まりつつあり、商圏として駅前が再注目されている。こうした駅前商圏の中でも、リニューアルを通じて需要を獲得し注目されているのが、盛岡ターミナルビル(株)(岩手県盛岡市盛岡駅前通1-44)が運営する、盛岡駅ビルの「フェザン」だ。同社の代表取締役社長の田口信之氏に、フェザンのリニューアルとその成果、北東北エリアの今後の見通しなどについて話を聞いた。

―― 貴社の概要と、駅ビル「フェザン」について。
 田口 当社はJR東日本の子会社として、「ホテルメトロポリタン盛岡」「ホテルメッツ北上」などのホテル運営、そして駅ビル「フェザン」の運営を行っている。
 フェザンは、盛岡駅ビル地下1階~地上1階の「おでんせ館」と、隣接する地下1階~地上4階の「本館」からなる。2015年の秋から改装を続けていたが、17年3月から5月にかけて、3期にわたる大規模リニューアルを行った。

―― フェザンのリニューアルはどのようなものですか。
 田口 今回のリニューアルの基本コンセプトは、地域の魅力発信による交流人口の増加、北東北のファッション拠点の確立、地域生活者を対象としたデイリー性の強化の3つで、これらを基盤に置いて160店中67店を入れ替える大リニューアルを行った。

―― 具体的には。
 田口 3月に行った第1期リニューアルは、おでんせ館地上1階の改装だ。これまでファッションだった部分を、「岩手のミニグルメ横丁」をテーマとした、食中心のフロアに改装した。出店した37店のうち32店は地元岩手の店舗で、地域に密着した食が楽しめるフロアだ。デザインコンセプトは旧南部藩をイメージした「南部モダン」で、観光客にもアピールしていく。またフロアには、岩手の「あるある」ネタを書いたロッカーを設置し、SNSでも話題になった。
 4月の第2期は本館地上1~2階、おでんせ館地下1階を中心に25店が出店したリニューアルで、ファッション関係の店舗を揃えた。「ユナイテッドアローズ GLR」や「ザ・ノース・フェイス」など若者に人気で、これまで盛岡にはなかったショップに声をかけ、若者へ訴求するフロアを目指した。我々はただ単に服を売るだけではなく、ファッションの楽しみを提案していく施設を目指している。そのため地元商店街と協業したファッションウィークの開催など、ファッションを披露する「ハレの日」を創出し、若い人のファッションを求める心を醸成していきたい。
 5月の第3期は、デイリー性の強化に焦点を当てたリニューアルで、本館3階部分に書店やサービス店舗を充実させた。またおでんせ館の地下1階に、直営のラーメン店「銀河辣麺堂」を出店した。岩手の食材にこだわり、ホテルの調理担当のスタッフと一緒に作り上げた店舗だ。

―― リニューアルの効果は。
 田口 とても好調だ。リニューアル中の4月28日から9月末までの全館合計売り上げは、前年同期間比で130%を超えている。特に調子がいいのが「グルメ横丁」となったおでんせ館地上1階南部分で、対前年同期比で200%近くとなっている。リニューアル前のフェザンの全館売り上げは年間110億円ほどだったが、今年の売上高は130億円前後を見込んでいるくらいに良い状況だ。

―― 盛岡、北東北エリアの商圏としての可能性について。
 田口 北東北全体という括りで見ると、人口は減り続けていくのが今後の見通しだ。しかし一方で、いわゆるコンパクトシティ化が進み、駅前などの中心市街地には逆に人口が集まっていくことも予想される。盛岡を住みよい街にしていくうえで、我々の役割、使命は非常に重要だと自覚している。
 現在もフェザンは盛岡の人々に愛される地域の交流拠点となっているが、今後も魅力ある店舗や、様々なイベントを通じて需要をしっかり獲得していきたい。

―― 今後の抱負をお願いします。
 田口 我々は、今いるスタッフは宝であると考えている。このスタッフを大事にしながら、盛岡という地域を元気、幸せにしていく。そしてその過程を通じて、20年にはフェザンで売上高150億円、ホテルで50億円、合計200億円を目指していきたい。

(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2223号(2017年12月12日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.244

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