商業施設新聞
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第398回

(株)西武リアルティソリューションズ 軽井沢・プリンスショッピングプラザ 総支配人 清水努氏


リゾートアウトレット日本一へ
過去最高売り上げも視野に

2023/9/19

(株)西武リアルティソリューションズ 軽井沢・プリンスショッピングプラザ 総支配人 清水努氏
 コロナ禍が落ち着き、インバウンド需要も復活し、アウトレットモールが好調だ。2022年度売上高実績がコロナ前を超えた施設もいくつか出ている。(株)西武リアルティソリューションズが展開する「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」もその一つだ。総支配人の清水努氏に直近の動向を聞いた。


―― 22年度の状況から。
リゾートアウトレット日本一を目指す「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」
リゾートアウトレット日本一を目指す
「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」
 清水 22年10月から23年3月まで毎月過去最高売り上げを更新し、好調に推移している。22年度売上高は541億円だった。客数は100%戻っていないが、客単価が上昇したことで、売り上げが伸びた。客単価の上昇は物価高もあるが、テナントによっては質を高めて単価を上げている。また、インバウンドの売上比率はコロナ前を超えているのも特徴だ。
 当施設は来館者の8~9割が車のため、冬場は冬用タイヤを用意する必要があり、客数が落ちていた。しかし前期は、冬季でも客数の減少幅が小さかった。要因として雪のイベントを開催し、インバウンドのお客様に好評だったことなどがある。22年秋、コロナの感染が落ち着きを見せた際、ほぼ毎週イベントを開催したことも大きい。

―― 改めて軽井沢・プリンスショッピングプラザの特徴を。
 清水 豊かな自然に囲まれ、歴史と文化や品格があるリゾート地の軽井沢に立地していることが最大のアドバンテージ。かつ当施設は軽井沢駅前にある。緑の中でショッピングを楽しめる非日常の提供が特徴で、リゾートアウトレットで日本一を目指している。周辺には当社が所有するホテル、スキー場やゴルフ場といったアクティビティが多数あり、22年から軽井沢の魅力を感じてもらうために「FEEL軽井沢」を打ち出している。今やアウトレット同士の勝負というより、街や地域の勝負になっている。従って軽井沢のファンをつくることがより重要だ。

―― 施設規模は。
 清水 店舗数は約240店で面積は4万2000m²。当施設はラグジュアリーブランドを強化しており、今後も追求していくが、親子3世代のお客様も増えている。以前は大人向けのアウトレットのイメージが強く、お子様向けの店舗が少なかったが、最近はキッズ、ファミリー、ホビーテナントなども増やしている。体験型のテナントは多くないが、芝生の広場を使ったアウトドアや気球搭乗など、自然に触れられるイベントも強みだ。

―― 近年注目の「食」についてはどうですか。
 清水 長野でしか食べられない地元のお店、テナントには信州牛や信州野菜を使ったメニューの提供など、信州を感じていただける展開を行っている。

―― 商圏は。
 清水 1都3県、長野県、群馬県、新潟県などで、名古屋市や岐阜県などからも増えている。北陸新幹線が福井まで延伸するので、福井県のPRイベントも行った。

―― 増床の考えは。
 清水 現時点で予定はない。過去数回にわたる増床で施設が横に広がるなど規模が拡大している。ラグジュアリーゾーンの「ガーデンモール」と「ツリーモール」は曲線を取り入れ、木材を使って自然と調和させた。

―― 大手アウトレットが増え、どれだけエリアの魅力を高めるかが重要になります。
 清水 そのとおり。買い物に行くというよりは軽井沢に行くなかで、その延長線上に当施設がある。軽井沢は観光地、美術館も多いが、意外と知られていない面もある。今、軽井沢町や観光協会と協業しており、魅力を発信して差別化していきたい。アウトレットはテナントが似てくるので、規模が勝負になるが、特色を出すことも重要。軽井沢は差別化できる材料が揃っている。

―― 街の魅力の訴求も求められます。
 清水 軽井沢に買い物に来るイコール旅行となることが多いので、買い物を楽しんでもらいつつ、周辺も訪れていただきたい。電車で来た方にもJRと試験的に観光型MaaSを実施するなど、他の施設にも誘客できるような告知や連携をしながら、軽井沢町のファンを増やしたり、将来リピーターになったり、別荘購入などにもつなげていきたい。

―― 今期の売り上げは。
 清水 昨年上期はコロナ禍での営業であったため、今期は前期を超えると思われる。下期は前期がコロナの反動で好調だったということもありやや不透明な部分もあるが、インバウンド需要が順調に推移するならば、前期の過去最高をさらに更新できるのではないか。それを施設側としても期待したい。

―― 引き続きイベントで集客を図っていく。
 清水 多彩に展開していきたく、プロスポーツチームとの連携イベントも行っている。軽井沢町のカーリングチームや長野県のバレーボール、バスケットボール選手にも来てもらい、子どもたちとプレーを楽しんでいる。また、当施設の特徴である自然を利用したイベントを強みにしたい。アウトドアイベントでは子どもたちによる焼きマシュマロ体験や気球搭乗を行っている。このほか5月にカルチュア・コンビニエンス・クラブと共催した、クラシックカーを一堂に集めた「軽井沢モーターギャザリング」は好評で、今後も定期的に行うなど、イベントを集客装置として、ファンづくりにもつなげていきたい。

(聞き手・特別編集委員 松本顕介)
商業施設新聞2512号(2023年9月12日)(2面)

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