商業施設新聞
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第361回

三井不動産(株) 商業施設本部 アーバン事業部 事業推進グループ グループ長 清水原氏


東京ミッドタウン八重洲、“ミッドタウン”3施設目が先行開業
23年3月グランドオープンへ

2022/12/20

三井不動産(株) 商業施設本部 アーバン事業部 事業推進グループ グループ長 清水原氏
 三井不動産(株)(東京都中央区)は9月、東京駅前の八重洲エリアに東京ミッドタウンブランド3施設目となる「東京ミッドタウン八重洲」の一部をオープンした。今回は地下のバスターミナルと商業店舗13店の先行開業で、1~3階の商業施設を含めたグランドオープンは2023年3月10日を予定している。同施設の商業施設部分について、同社商業施設本部 アーバン事業部 事業推進グループ グループ長の清水原氏に聞いた。

―― 施設の全体概要から。
 清水 東京ミッドタウン八重洲は、当社が注力する東京ミッドタウンブランドの3施設目として開発した複合施設。オフィスを中心にバスターミナル、商業施設、小学校、ビジネス交流施設、ホテルといった多機能を有したミクストユースのビルだ。39階から上のホテルには日本初進出の「ブルガリホテル東京」が入居する。
 23年3月のグランドオープンに先がけ、22年9月17日に地下2階のバスターミナル、地下1階の商業施設の13店がオープンし、早くも周辺オフィスワーカーやバスターミナル利用者、観光客など多くの人で賑わっており、順調なスタートを切った。

―― 施設コンセプトと商業施設について。
 清水 施設全体として「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド」というコンセプトを掲げ、世界中・日本中から人やモノ、情報などが集まり、交わり、新しい価値を持たせ、世界中に発信していくことを目指している。
 商業施設は地下1階~地上3階の4フロア、約5500m²に計57店を展開する。地下1階は「デイリーユース」、地上1階は「ジャパン・ラグジュアリー」などフロアごとにテーマがあって、そのテーマに合ったテナントを集めている。例えば地下1階は、地下2階のバスターミナルと同日オープンし、バスターミナルをはじめ東京駅利用者にとっても親和性のあるラインアップとなっている。

―― 注目エリアは。
 清水 地上2階の「ヤエスパブリック」は面白い取り組みだと思う。約820m²の空間を“八重洲のロジウラ”“イチジテイシ”“ALLSTANDS”の3ゾーンに分け、そこに飲食、物販など11店を集積した新しいパブリックスペースとなる。店舗のラインアップも八重洲の街の特徴を表現するような個人店っぽさ、路地っぽさなどを意識した。
 元々は、東京駅利用者がスキマ時間を有効に使える場所を整備したいという考えからスタートしたもので、出張に行く直前のスキマ時間に使う、待ち合わせや交流の場にするなど様々な利用シーンを想定しており、その中で、食べたり飲んだりしながら、多様な楽しみ方、使われ方をしてほしいと思っている。
 出店者様との契約も柔軟な形を取ることでイニシャル投資が非常に軽減されており、チャレンジングな企画での出店も可能だ。一方、お客様にとっては新鮮で旬な店舗が楽しめる場となる。我々としてもチャレンジだが、出店者様やお客様にとって面白い企画だと思っており、東京駅前の新名所になることを期待している。

―― 店舗も個性豊かな顔ぶれです。
 清水 ビル全体のコンセプトであるジャパン・プレゼンテーション・フィールドを具現化するため、ジャパンブランドの店舗にこだわった。例えば、地上1階はジャパン・ラグジュアリーのテーマのもと、目玉の一つである創業400年を誇る西陣織の老舗ブランドでテキスタイルを活用した小物やアパレル商品などを販売する「HOSOO Tokyo」が、拠点である京都以外に初出店する。
 前述のとおり、東京ミッドタウンはミクストユース開発なので、商業施設も他用途との連携を強く意識している。同施設には海外からのお客様も多く来られることが想定されるため、それぞれの用途とシナジーを最大限発揮したい。

―― 店舗リーシングのポイントは。
 清水 まず、東京ミッドタウンだから、八重洲だからではなく、お客様が行きたくなる・訪れたくなる施設づくりを目指した。今改めてリアルの価値観が見直されていると思っている。直接コミュニケーションを取る、見る、触れる、感じることの大切さや価値観をどれだけ提供できるのか。ここにまず注力した。
 八重洲エリアはまさに日本の玄関口だ。日本の玄関口から日本の素晴らしい価値を発信する、そしてこの施設がこれから大変貌を遂げる八重洲エリアの再開発の先陣を切る起爆剤となるような店舗リーシングを心がけた。もちろん近隣には様々な商業施設があるが、そうした既存施設と異なる価値観をいかに出していくか、そこを重視した。

―― 同施設の役割と今後の抱負を。
 清水 東京ミッドタウン八重洲は、日本の玄関口であり、東京駅の駅前から新しい価値を日本中・世界中に発信する。そして、隣接する日本橋や銀座を含め、新しい人の流れを地元の方々や行政などとも連携しながら作り、その輪を広げていきたい。
 日本中からユニークな店舗に集っていただいた。23年3月のグランドオープンにぜひ期待していただきたい。

(聞き手・編集長 高橋直也/副編集長 若山智令)
商業施設新聞2475号(2022年12月13日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.390

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