商業施設新聞
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第358回

(株)ジェーディーレックス 代表取締役 金相勲氏


新大久保で韓国料理店を複数運営
全国出店、ECなど多彩に展開

2022/11/29

(株)ジェーディーレックス 代表取締役 金相勲氏
 韓国グルメやK-POPなどの韓流カルチャーを求めて多くの人で賑わう東京・新大久保エリア。ここを拠点に人気韓国料理店「ホンデポチャ」などを展開する(株)ジェーディーレックス(東京都新宿区)は、今後、全国を視野に積極出店するなど様々な展開に打って出る考えだ。代表取締役の金相勲氏に聞いた。

―― これまでの経緯から。
 金 韓国出身で、2002年に来日した。様々な外食事業に携わった後、ジェーディーレックスを2017年4月に設立。同年10月に1号店「ホンデポチャ本店」を開店した。家庭料理と屋台料理を組み合わせたもので、FC2店を含む12店を展開しており、直近では9月に横浜駅西口、11月1日に錦糸町に開店した。また、チヂミ専門店の「ホンデジュマク」を7月、新大久保イケメン通りに開業した。

―― 顧客層は。
 金 10~30代の女性だが、地域によって異なる。田町店はサラリーマンが多く、客層は40~50代も多い。

―― 21年12月に「新大久保韓国横丁」をオープンしました。
「新大久保韓国横丁」の店内
 金 大久保通り沿いに210坪、450席の店で、日本の横丁を参考に韓国の市場をコンセプトとした。運営は別会社のKDライフジャパンが担当する。1階は多彩な韓国料理が10店ある。知人が運営する「泡包シャンパンマニア」を当社がFC出店したが、それ以外はすべて新たに業態を開発した。
 2階は8室のカラオケルームで、昼間は年齢層が幅広く、夜は若い人が中心。K-POPアイドルのコンサートが東京ドームなどであると、多くのファンが押し寄せる。コンサート前に当店に来て、コンサートが終わると再び食事に来るファンも多い。また、2階のスペースを活用して定期的にライブやイベントを開催する構想もある。

―― 横丁の人気店は。
  ホンデポチャは知名度もあり、最も人気が高い。「第一食堂」も韓国の市場にあるメニューを揃えており、人気がある。3番目が「漢江の奇跡」でサムギョプサルを売りにしている。

―― 出店計画は。
  今期の出店は11月の錦糸町で完了する。来期は3~5店計画する。ホンデポチャのメニュー構成をやや高級志向とし、中目黒などに出店したい。また、韓国横丁用に業態開発した「第一食堂」や「漢江の奇跡」を単独出店する考えだ。

―― 出店エリアは東京だけですか。
  大阪・京橋にFCで1店出店している。札幌のすすきのエリアで韓国横丁の問い合わせがある。また、現在セントラルキッチンを整備中で、これが整えば九州も視野に入る。これにより将来的には約50店を目指している。

―― 新大久保はエリアの人気が高いですね。
  03年のヨン様ブームを機に広がった。当時、店舗は少なかったが、それが10倍程度になった。また以前はJR新大久保駅からイケメン通りまでで、それより東側の立地は厳しかった。今では出店場所がないため、JR新大久保駅から東に数百mある明治通りにまで店舗が広がっている。南は職安通りまで韓国大手が進出するなどしている。
 韓国の日本1号店はかつて渋谷や六本木だったが、今では韓国の有名店は新大久保からスタートする。若い人から「新大久保に出店地はありますか」という問い合わせが多いなど、新大久保がブランド化している。

―― 競合は。
  多い。かつては比較的年配者が多かったが、今はファストフードのチキン店を運営する若い人が増えている。日本企業も韓国料理に参入しており激戦区といえる。

―― 韓国からの日本進出は。
  韓国で成功して日本進出を目指すことが多い。ただ、日本に進出して生き残っている店は少ない。

―― その理由は。
  大手や有名ブランドであればあるほど、日本に合わせたメニュー開発など、日本に合わせて工夫しているようには見えない。

―― 日本はビジネスがしやすい環境ですか。
  韓国では日本で飲食を成功するのが最も難しいといわれている。繊細でニーズも細かいし、サイレントクレーマーも多い。ただ、日本で成功すればどこでも成功するといわれている。

―― 今後の展開を。
  新大久保で韓国スイーツ店が増えている。当社でも2階のフリースペースで韓国デザートの販売を検討している。また、韓国の飲食ブランドとコラボし、日本への誘致や韓国で「日本横丁」をやりたい。そのほかにホンデポチャのブランド力を使ってソースをEC販売したい。売上目標としては年商50億円を目指す。今期は10億円の見込みで、来期は20億円近くになるだろう。

―― 来日20年目の節目の年です。最後に抱負を。
  最も大変だったのはコロナが始まった時がオープンだった渋谷店。しかし韓国業態はデリバリーに強く、それで踏ん張ることができ、協力金を得て余裕ができた。今後も飲食一本でいくが、事業のバリエーションは広げる。韓国ブランドの誘致や海外出店、自社ブランドのEC展開などを行い、50店・年商50億円にしたい。
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