商業施設新聞
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No.654

仙台駅周辺にかかる影


山田 高裕

2018/5/8

 人口が減少する現代日本で、特に減少幅が大きいと言われているのが東北地方だ。元々の過疎化傾向に東日本大震災が追い打ちをかけ、主な都市機能が復興した現在も経済成長に影を落としている。全国的にインバウンドが増え続けている状況でも、東北地方のインバウンドは低調だ。こうした中「コンパクトシティ」を志向する各自治体の意向などもあり、東北地方の各地では駅前など中心市街地への都市機能・人口集中が進んでいる。その中でも代表的なのは、東北の玄関口であり、駅ビル「エスパル」のリニューアルや「仙台パルコ2」の開業など商業開発が進んでいる仙台駅周辺だが、現在ここでは再開発の流れに懸念が生じている。

 仙台駅西口では、2017年2月に西口からペデストリアンデッキで直結している「さくら野百貨店仙台店」が突如閉店した。直接の理由は建物の老朽化だが、背景には運営会社の経営悪化、売り上げの落ち込みがあった。場所は駅前の一等地であるため、早急に再開発が望まれるところだが、これが全く進まない状況が続いている。

再開発に問題を抱える仙台駅前
再開発に問題を抱える仙台駅前
 原因は、現建物の解体と土地の売却などについて、複数いる地権者間での合意の見通しが立っていないことにあるようだ。この状況が続く限り、駅前の一等地に巨大な空きビルが放置されている状態が続くこととなるため、地権者や市民の間からは仙台市が調停者となることを望む声があるが、市は「地権者間での合意が先」という姿勢を崩していない。

 また、駅東口も気懸かりだ。東口では現在、ヨドバシカメラによる「ヨドバシ仙台第一ビル計画」が進められているが、これが二転三転してなかなか進んでいない。当初は16年3月に開業する予定だったが、その後計画の変更がありヨドバシカメラが出店する商業棟と、音楽ホールなどが入る棟の2つが18年10月に開業すると見込まれていた。しかし、またしても計画の変更があり、18年2月には当初9階建てを予定していた商業棟にホテルが出店し、20階建ての施設になると伝えられた。開業予定時期は不透明だが、18年4月になっても着工していないため、以前伝えられていた18年10月からさらに遅れることは確実と見られる。予定地は現在平面駐車場として利用されているが、近くに立体駐車場もあり、そして何より東口にほぼ直結しているという好立地のため、単に平面駐車場として利用し続けるのは明らかに機会損失を生み出していると思われる。

 仙台駅周辺は東北の玄関口であると同時に、東北一の商業・人口密集地であり、名実ともに東北の中心地として発展していくことが期待されている。そうした仙台駅前の一等地に、巨大なゴーストビルや単なる平面駐車場が存在し続けているのは、経済的損失となるだけでなく、どうにも格好がつかない。早急な計画の進展が望まれるところだ。
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