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No.651

魅力度最下位県の逆襲


笹倉 聖一

2018/4/10

 “魅力度最下位県”として知られる茨城県が逆襲に出た。同県は、ブランド総合研究所(ブランド総研)による都道府県別の魅力度ランキング(2017)で47位となり、5年連続の最下位が続いている。17年は、NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』の舞台になり、また相撲の稀勢の里関の横綱昇進や高安関の活躍、小説家の恩田陸氏(水戸一高出身)が直木賞と本屋大賞をダブル受賞したことなどの効果で、順位が20~30位に上がるのではないかと注目されたのだが、ふたを開けてみると、やはり47位の“定位置”だった。

 茨城県は06年度から毎年、県のイメージアップに寄与した取り組みなどを表彰する「いばらきイメージアップ大賞」を選出している。同県は17年までの5年間、茨城県に「魅力度最下位」の称号を与え続けているブランド総研に特別賞を授与する逆襲に出た。18年2月に開催された表彰式への取材案内状には、「ブランド総合研究所の田中社長をはじめ各受賞者が登壇。魅力度ランキングに不満の納豆の妖精“ねばーる君”(県非公認のゆるキャラ)も参加、ブランド総研田中社長との対決があるかも……?」とあったので、会場で何か乱闘めいたものがあるのではと好奇心が高まり、取材席から参加した。

イメージアップ大賞の記念撮影
イメージアップ大賞の記念撮影
 表彰式では、大賞としてNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』(茨城県北地域が舞台)、奨励賞に茨城の栗、茨城三大銘茶(奥久慈茶、さしま茶、古内茶)、筑波大学蹴球部、特別賞としてブランド総研が表彰された。

 県知事の大井川和彦氏は、ブランド総研への特別賞授与について「5年連続魅力度ランキング最下位が話題になり、県民に茨城県の本当の魅力について考える機会が愛郷心の醸成につながった」と逆説的に語った。懐の深さと同時に、鷹揚さを感じる一幕だった。一方、ブランド総研社長の田中章雄氏は「都道府県別の魅力度ランキングの発表のたびに『なんでだ』『いいかげんにしろ』『発表をやめてくれ』と、茨城の人から電話やメールが入る。今回もまた叱られるのかなと思ったら、特別賞受賞の連絡だった」と明かした。「茨城県が将来ベスト10入りした時には大賞をもらいたい」とも付け加え、会場の笑いを誘った。さて、いよいよ行く先々で騒ぎを起こす納豆の妖精“ねばーる君”の登場だ。「47位、5年連続ありがなっとう。魅力度最下位を付与する相手にも(特別賞賞品として高級な)常陸牛を贈っちゃうのが茨城の懐の深さだネバー。これは賄賂だと思わないでほしいネバー。中途半端に順位を1~2位上げられても困るネバー」といつもの甲高い声で述べ、皮肉を効かせた。実は、もっと激しい罵声が飛び出すのではと予想していたのだが、意外に理性的な口撃だったので拍子抜けしてしまった。ブランド総研は、受賞が決まった後に同県のイメージアップにつながる戦略案として、(1)茨城県のブランドシンボルを創れ、(2)愛着度日本一を目指せ、(3)KK(北関東3県)連合で脱出、を提言している。

羽田美智子さん(中央)と松野明美さん(左)もかけつけた
羽田美智子さん(中央)と
増田明美さん(左)もかけつけた
 さて、イメージアップ大賞の表彰式には、『ひよっこ』に出演した羽田美智子さん、ナレーターを務めた増田明美さん(1984年米ロス五輪女子マラソン日本代表)もかけつけた。羽田さんは「20歳のころに茨城から東京に出てきたのだが、最初は事務所から『茨城県出身と書くのをやめようか、イメージと違うから』と言われ、寂しさと同時に怒りも感じた」と振り返りながら、「だから自分が茨城の外交官になれたらと思っていたので、今日は(ひよっこで)大賞をいただき、茨城県人で良かったと思っている。30年来の夢が叶った気持ち」と話した。増田さんは「千葉県出身で『ちばらき』って言われていた。隣県でとても親しみを感じている」と笑顔をみせた。

 筆者は「茨城よ、魅力度最下位でもいいじゃないか。ただ、魅力の伝え方が少し下手なだけなのだから」と思っている。同県には魅力が多くあることを知っている人も多いし、逆に最下位県の方が、話題性があって注目されて面白い。水戸黄門(光圀公)、梅と偕楽園、納豆のほかに、生産高日本一のメロンもある。東京都中央卸売市場の青果物取扱高では、茨城産の水菜、蓮根、栗、干し芋、切りみつば、チンゲンサイ、エシャレット、白菜、ピーマン、小松菜、こだますいか、カリフラワーは、占有率(シェア)1位である。食品スーパーへ行くと、確かに茨城産の青果物が多い。今後も魅力度最下位を逆手にとって、逆襲を狙い続ける挑戦的な県であってほしいと願う。なお、同県は東京・銀座のアンテナショップ「茨城マルシェ」を改装する。4~9月の半年間休業し、秋からどんな逆襲に出るのか期待する。
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