商業施設新聞
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No.650

新設道路で高まる期待と不安


永松 茂和

2018/4/3

 外環自動車道(外環道)の三郷南IC(埼玉県)から、千葉県市川市の東関東自動車道につながる高谷JCTが6月に開通する見通しとなった。先日、その開通記念イベント「外環道&道の駅 オープンフィールド in いちかわ」が、道の駅の駐車場予定地などを主会場に開催され、参加してみた。

 そもそも、3環状9放射のネットワークが計画されたのは、今から約40年前。以降、東名道、中央道、関越道、東北道など放射方向への高速道路交通網は整備されてきたが、環状方向は整備が遅れていた。三郷南IC~高谷JCTは、わずか16kmの区間であるが、住宅地を縦断するため工事が難航し、このうち市川市の区間は8kmしかないものの、住民や市を挙げての反対活動や、事業仕分けによる用地買収の難航などが工事に影響を与えたことを記憶している。その外環道が予定より半年遅れとなるものの、いよいよ開通することになり、周辺住民の期待感は高まっている。

 イベント当日は、その期待感を表わすかのように、市川市民だけでなく周辺市町村も含めて約3万人が来場する大盛況となった。開通前の高速道路を歩くことができたほか、様々なイベントが開催されたのも人が多く集まった要因と言える。

開通間近の外環自動車道
開通間近の外環自動車道
 イベントでは、外環道工事区間における親子マラソン、ハーフマラソン、10kmマラソン、外環道一部区間の自由見学、ミニパト・レスキュー車・救急車・ミニショベルカー・フォークリフト・高速道路巡回車など、高速道路で働く車の一斉展示と試乗や、フェラーリ、ランボルギニーなど世界のスーパーカー集結などの催しが行われた。また、会場内のイベントステージでは、創作和太鼓の演奏、市民サークルなどによるダンスの披露など、盛りだくさんの内容であった。

 ところで、この外環道は筆者の自宅から歩いて1~2分という近距離を通るため、周辺環境が大きく変わることになる。そうなると、近くのICまで車で5分以内となり、わざわざ混雑する首都高を使わずに東北道、関越道、中央道、東名道へのアクセスが飛躍的にアップするため、行動範囲は大幅に広がる。ネクスコ東日本によれば、外環道の千葉県区間が開通すると、湾岸道路から常磐道まで現在40分かかるところが15分に短縮されるほか、東北道までは30分、関越道までは50分に短縮するとしている。例えば「埼玉スタジアム2002」までは、これまで75分かかっていたが、整備後は40分短縮されて35分となるため、非常に利用価値が高い道路となる。

 利便性が高まる半面、高速道路までの距離が近いため、騒音や排ガスといった環境の悪化は気になるが、まだ開通前であるため、今後の状況は不透明な部分が多い。イベントに参加した折には高速道路の側道沿いを歩いたが、自宅近くと同様に、生活道路が所々で分断され、今まで通ることができていた道が通行できなくなり、これまで馴染んでいた道の状況も一変してしまった。これは皆同じ状況のようで、所々で参加者が戸惑っている様子が見受けられた。道路は街や生活を大きく変えるのだと実感した。開通を間近に控え、期待と不安が交差する今日このごろである。
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