電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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スマホ市場「18年出荷は5.5%成長に」


~「第34回 IHSディスプレイ産業フォーラム」開催(4)~

2018/1/19

アソシエイト・ディレクター ジュシー・ホン氏
アソシエイト・ディレクター ジュシー・ホン氏
 大手調査会社のIHSマークイットは、1月25日、26日にFPD市場総合セミナー「第34回IHSディスプレイ産業フォーラム」を東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)で開催する。本稿では、国内最大の受講者数を誇る同フォーラムの内容について、講演アナリストに4回にわたりインタビューする。第4回は「スマートフォン市場」を担当するアソシエイト・ディレクターのジュシー・ホン(Jusy Hong)氏に主要テーマを伺った。

 ―― 2017年のスマートフォン(スマホ)市場について。
 ホン 前年比5.7%増の14.8億台になったとみており、当初の想定より伸びた。16年が同1.8%増だったことと比較して、回復したといっていい。16年は中国市場が低迷したことに加え、中国メーカーの販売がローカルにほぼ限定されていたが、17年は海外市場に販路を拡大したことが奏功した。ファーウェイは主に東欧、オッポやビーボ、シャオミーは主にアジアに販路を広げており、それぞれ前年比で10%、22%、18%、61%出荷台数を伸ばしたとみている。

 ―― 18年の見通しは。
 ホン 引き続き5.5%増の15.6億台へ拡大するとみている。ファーウェイは東欧に加えてアフリカ、オッポとビーボは東南アジアで台数を伸ばすとみており、モトローラブランドを引き継いでいるレノボはラテンアメリカでシェア拡大を目指している。中国ブランドの成長率が1桁台に落ちるものの、画面サイズが18対9以上にワイド化することが先進国中心に買い替え需要を促進するはずだ。

 ―― アップルやサムスンの見通しは。
 ホン アップルについては、17年の出荷台数が前年比5.1%増の2.26億台、18年は同4.7%増の2.37億台になるとみている。17年は有機ELを初搭載したiPhone Xがプレミアムユーザーを中心に人気を博した。18年は「X」の販売がピークアウトするが、18年モデルに加え、旧モデルが新興国で伸びる。すでにiPhone 6を復活させてインド市場に投入しており、旧モデルを含めた多モデル展開で好調を維持する見通しだ。
 ちなみに「X」に関しては、17年10~12月期に3400万台を出荷したとみており、これは想定より多かった。高価なためプレミアムユーザーのみに購入が限られているが、発売後1年で8000万台になると見積もっており、これはほぼ当初の想定どおりだ。
 一方、サムスンの計画は保守的だ。17年は前年比3%増だったとみているが、18年はゼロ成長の3.21億台にとどまるとみている。中国ブランドの台頭に伴ってハイエンド寄りにシフトしており、台数よりも単価を重視する方針である。

 ―― よりいっそう寡占化が進みそうですね。
 ホン 2桁成長を続けてきた中国4ブランド(ファーウェイ、オッポ、ビーボ、シャオミー)は、サムスンと世界市場で戦わざるを得なくなり、インドなどの現地市場ではローカルメーカーも存在するため、成長率が1桁台に下がる。この4ブランドより出荷台数が少ないZTEやTCL、メイズなどはコストダウンがより難しくなるため出荷を伸ばすのが難しくなるはずだ。

 ―― 画面のワイド化の見通しについて。
 ホン アスペクト比18対9以上の端末が17年10~12月期から増加し始めており、特にワイド画面がアジアで好まれている。ワイド画面端末の出荷は17年に1.1億台だったが、18年は4.5億台まで増加し、全体の29%を占めるまでに普及が進む。単価を上げたいスマホメーカーにとっても、搭載端末を増やすモチベーションになる。

 ―― 18年にフォルダブル端末は登場しますか。
 ホン デバイス技術に限らず、ソウトウエアの面からも可能性は低い。特にアンドロイドは端末の種類が多く、OSのアップデートもiOSより遅い。アプリ開発者のサポート無くして新型端末は売れない。過去の事例として、タッチペンを搭載したサムスンの「Galaxy Note Edge」はペン対応のアプリ開発が追い付かず、端末の販売が伸びなかった。しかも、アップルは有機ELスマホを発売したばかりであり、いきなりフォルダブル端末には挑戦しないだろう。
 サムスンがフレキシブル有機ELパネル市場を独占しているため、サムスンがフォルダブル端末を先行発売する可能性も考えられるが、サムスンはニッチ分野を手がけない企業だ。アップルがフォルダブルディスプレーの信頼性に関してゴーサインを出し、パネルの生産が一定量を見込めるようになってから商品化するのではないか。そのタイミングは20~21年になると考えている。

(聞き手・編集長 津村明宏)



 「第34回 IHSディスプレイ産業フォーラム」の詳細情報はセミナー事務局(E-mail : technology.events@ihs.com、Tel.03-6262-1824)まで。
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