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第242回

富士電機(株) 執行役員 宝泉徹氏


SiC拡大に向けて開発強化
自動車向けなど生産能力増強

2017/10/6

富士電機(株) 執行役員 宝泉徹氏
 パワー半導体大手の富士電機(株)(東京都品川区大崎1-11-2)がSiCの売り上げ拡大に向けた開発強化を打ち出した。2020年までの急速立ち上げを予測し、世界最高性能を狙うトレンチMOSFET技術開発を加速する。また、電子デバイス事業分野の営業利益率を7.4%まで引き上げる計画を推進しており、17年度の設備投資は前年度比33億円増の122億円投入を計画している。電子デバイス事業本部を引っ張る事業統括部長の宝泉徹執行役員に話を伺った。

―― 17年度の電子デバイスの事業計画を。
 宝泉 16年度の電子デバイス事業は、半導体分野で20億円の売り上げ増を図り970億円となったが、ディスク媒体は需要減の影響を受けて後退した。17年度は電子デバイス全体で前年度比微減の1127億円を見通している。半導体分野は966億円の計画だが、現状はFAや工作機械向けを中心に需要が旺盛で、16年度実績以上の売り上げを達成できると思う。高利益体質の構築を進めており、電子デバイス事業分野の16年度の営業利益率6.8%を17年度には7.4%まで持っていく。

―― 半導体事業分野の構成比率は。
 宝泉 産業分野が全体の約5割を占めている。インバーター、NC工作機械、エレベーター、無停電電源装置、エアコンなどが主要アプリだ。自動車分野は約3割を占めており、車載IGBTを主力に圧力センサー、パワーIC、イグナイターなどがある。民生分野は約2割となっており、サーバー、薄型テレビ、ゲーム機などに各種ディスクリートを提供している。

―― 今後の重点施策は。
 宝泉 第7世代IGBTモジュールの本格展開に取り組む。NC工作機械、ロボット、エアコンなど好調な分野への拡販を図る。また、今後かなりの伸びが期待できる自動車分野の売り上げ拡大に向けた製品開発を加速する。EV向けIGBTモジュールの売り上げ拡大によって、23年度には16年度比で倍増を狙う。自動車分野では高付加価値モジュール製品が増えてくるとみており、現在のモジュール比率40%が23年には60%まで引き上がっていくだろう。

―― SiCの徹底強化を打ち出していますね。
 宝泉 そのとおりだ。当社のSiC第1世代は競合他社に比べて低損失という点でかなりの差をつけている。これにさらに磨きをかける。JR東日本やJR東海など電鉄系でSiCの採用が加速する。自動車についてもEVの水冷のところにSiCが必須のデバイスとなる。電源、UPS、データセンターなどにもアプリは拡大するだろう。

―― 設備投資・研究開発については。
 宝泉 拠点工場の松本工場では、8インチ能力を月産3000枚から5000枚まで引き上げる。SiC生産拠点としての機能をさらに強化する。山梨の8インチ能力も月産9000枚から1万2000枚まで上げていく。第7世代IGBTの生産も開始し、電装IGBTの生産系列を拡大する。後工程では、自動車用IGBTモジュールの増設、エアコン用IPMの生産倍増を図っていく。電子デバイス事業分野の17年度の設備投資全体は前年度比33億円増の122億円に拡大する。一方、研究開発投資も手を抜くことなく、17年度も前年度とほぼ同額の127億円を投入する。

―― 海外売り上げの拡大については。
 宝泉 半導体分野の海外比率はすでに50%超となっているが、さらにこれを引き上げていく。最大の売り上げは中国・アジアエリアであり、FA、ロボットなどに大きな引き合いがある。ロボットでは関節、モーターなどのサーボ制御に6軸ロボットなら6個(6個組みモジュールの場合)搭載するのだから、将来ビッグマーケットになるだろう。国内のFAメーカーやロボットメーカーの生産は好調に推移しており、当社のデバイスも数多く搭載されている。

―― IoT時代を迎えてパワー半導体はますます重要デバイスになりますね。
 宝泉 コネクテッドカーやハイブリッド車、EVなどが急速に成長することは間違いない。自動車向け半導体は、今後数年間で平均8.9%以上伸びるとみられている。当社のパワー半導体もこれに呼応して伸びていくだろう。EVパワートレイン用モジュールでは他社に先駆けて第3世代アルミ直接水冷タイプの量産を10月から開始する。
 IoTはAIとセンサー、ロボットが主役といわれているが、当社のパワーデバイスはそのすべての分野に活躍の舞台があるのだ。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2017年10月5日号3面 掲載)

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