商業施設新聞
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第90回

(株)立飛ホールディングス 代表取締役社長 村山正道氏


立川駅北で音楽ホールなど開発
文化・スポーツ施設を拡充

2017/8/8

(株)立飛ホールディングス 代表取締役社長 村山正道氏
 近年商業が集積している東京都立川市で、今注目を集めている地元企業が(株)立飛ホールディングス(東京都立川市栄町6-1、Tel.042-536-1111)だ。「ららぽーと立川立飛」を皮切りに、大規模な文化・スポーツ施設の開発を進めている。同社の沿革や今後の開発計画について、代表取締役社長の村山正道氏に話を伺った。

―― 貴社の沿革から。
 村山 当社の前身は「立川飛行機」という陸軍用飛行機製造会社で、現在の立川市の中央に工場を持ち、戦前から戦中にかけて九五式一型練習機(赤とんぼ)などを作っていた。戦後は土地を接収され、製造事業は新たに設立した「新立川航空機」が継承した。その後、1976年に旧飛行機製造工場の土地建物の返還を受け、その不動産を活用した事業にシフトしていった。2012年には両社を統合、上場廃止し「立飛ホールディングス」を親会社として不動産主体の企業グループとなった。現在、立川市の約25分の1にあたる約98万m²を所有している。

―― 商業施設を手がけたのはいつから。
 村山 当社は不動産事業を始めて以降、主に倉庫や事務所の賃貸などを手がけてきたが、2社を統合し新しく事業を始めようと考えたときに三井不動産から提案を受け、商業施設を共同で開発することになった。三井不動産は以前から立川に出店したかったようで、立飛駅前のゴルフ練習場を建設地とし、15年12月に「ららぽーと立川立飛」を開業した。建物と土地の所有が当社、施設の運営は三井不動産となっている。

―― ららぽーと立川立飛の現状は。
 村山 想定した目標額に届いていないので、三井不動産がテナント入れ替えなどでてこ入れを図っている。当社側からの側面支援としては、4月に開業した「タチヒビーチ」や、9月に竣工する「アリーナ立川立飛」がららぽーとの集客に寄与するのではないかと期待している。

―― タチヒビーチとアリーナについて。
 村山 ヤギ関連で縁があるタレントの清水国明氏の提案で、同氏が経営するソトイク(株)に賃貸して4月に開業した「タチヒビーチ」は、ららぽーとから立飛駅を挟んで反対側に位置する、広さ2800m²の人工砂浜だ(敷地全体は約6500m²)。ビーチスポーツやBBQなどに活用でき、ファミリーから周辺の大学生といった若年層まで、幅広く利用している。7月17日にはグランドオープンし、さらなる集客を見込んでいる。
 また9月19日にはこの隣接地で、3000席規模の多目的アリーナ「アリーナ立川立飛」が竣工する。バスケットボールや相撲、テニスなどの利用を想定しており、特にバスケットボールについてはプロリーグの試合も開催できる見込みだ。

―― 取得した立川駅北の土地も注目されています。
 村山 当社は15年2月に、立川駅北側約3.9haの国有地を取得し、「みどり地区」と名付けた。現在は除草目的でヤギを放牧しており、地域の方々に親しまれるとともに、当社の知名度アップにもつながっている。土地の取得に際しては立川市から地区計画で北側の約4分の1の敷地に「多摩オンリーワン」の施設を作るようにと要請があり、立川の現状なども合わせて考慮した大規模複合開発を計画するに至った。

―― その大規模複合開発について。
 村山 区画の北側に音楽ホールを、南側にホテルやオフィス、飲食などの施設を建設する計画だ。音楽ホールは地上レベルからそのまま屋上にまで上がることができ、屋内から屋外に開けて一体的に使える構造を採用する予定で、これは「多摩オンリーワン」どころか世界的にも珍しい形状、機能を有する施設となる。席数は2500席規模を予定している。
 ホテルは、当社が自ら運営する100室程度の高級ホテルとなる計画だ。屋上には温泉を利用したプールやルーフトップバーを設け、隣接する昭和記念公園のパークビューが楽しめるようにしたい。これらは18年2月には着工し、20年春ごろの開業を見込んでいる。

―― 立川という街と、貴社の今後について。
 村山 立川は住環境がよく交通の要衝であるとともに、土地も平坦でポテンシャルのある街だと考えている。人口は20年には5000人減少するとの予想があるが、逆に5000人は増えると思っている。こういった好条件の中で商業施設が集積している一方で、これまで文化やスポーツ施設については少ない。当社は率先して文化施設などを整備していき、街として立川の格を上げ、メジャーな都市にしていきたい。我々は1930年からの長きにわたり立川に根ざした企業であり、立川が元気になれば自分たちにも返ってくると考え、事業を行っていく。

(聞き手・副編集長 高橋直也/山田高裕記者)
※商業施設新聞2201号(2017年7月11日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.232

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