商業施設新聞
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No.611

フィットネスの内覧会


松本 顕介

2017/6/20

 新規やリニューアルなど、商業施設の内覧会に参加する時、その道すがら、どのような施設に仕上がっているのかと、少々わくわくする。ゾーニングや空間づくり、デベロッパーの施設に込めたコンセプトや狙いは何か。また、そのメッセージをちゃんと読み取ることはできるか。そしてテナントの顔ぶれは……。事前に配布されたニュースリリースには、あの新業態に注目とあったな、などと思い巡らせておのずと高揚する。

 内覧会会場では各テナントのスタッフがそのショップの魅力を伝えようと、色々準備している(全くない場合もある)。物販であればノベルティグッズを配ったりすることが多く、コト消費系の代表格の飲食店であれば試食の機会に巡り会うことが多い。そのなかでフィットネス系は少々大変だと、最近そう感じるようになった。

 フィットネスやスポーツジムのテナントを訪れて、店づくりや客層のターゲット、プログラムなどの話を伺っていると、時々「ちょっと試してみませんか」の一言に促されて、ついやってみるのだが、どうも据わりが悪い。それもそのはず、そもそもスーツであることが多い。もちろん上着くらいは脱ぐが、それにしても、である。ネクタイにズボン、靴下は黒や紺色で靴を脱ぐことを想定しておらず、何やらあらわになった感じすらする。うっかり穴など開いていようものなら、穴があったら入りたい気分になる。最近のスーツはスリムなものが多く伸縮性も増しているが、一昔前は少々ゆったりしたタイプが多く、余計にそぐわない。女性記者も多いが、どうしているのか。カジュアルな格好の人もいるが、黒いスーツ姿も少なくない。

施設の内覧会で空中ヨガにチャレンジする本紙W記者
施設の内覧会で
空中ヨガにチャレンジする本紙W記者
 プログラムも思ったよりハードであったりして、これが日に日に衰えてきていると思われる体力や身体の柔軟性が欠落し始めていることも手伝って、プログラムをこなすだけで精一杯。そしてフィットネスは大抵、大鏡がしつらえてあったりする。その鏡に写った自分の姿がなんとも情けない。そこにあるのはアクティビティとか、シャープ、スマートさなどのフレーズとは無縁の光景で、バツゲームという気すらする。

 写真はスタジオタイプのフィットネスクラブの内覧会に出席した本紙W記者の姿である。読者諸兄の皆さん、色々ご意見をお持ちだと思うが、逆さにしても十分面白い1枚なのである。スーツ姿、顔面に垂れ下がったネクタイがアクティブ感ゼロを象徴しているかのようだ。せめてジャージでと思うが、毎回ジャージ持参で登場するのもどうかと思う。「商業施設新聞さん、いつも張り切っていますね」、なんて賛辞をいただいても下を向きたくなる。悩ましいフィットネスなのである。
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