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第82回

住商アーバン開発(株) 代表取締役社長 高野稔彦氏


テラスモールを大規模改装
所沢駅商業開発に参画
NOI高める環境整備重要

2017/6/13

住商アーバン開発(株) 代表取締役社長 高野稔彦氏
 住友商事グループの住商アーバン開発(株)の社長に昨春、高野稔彦氏が就任した。就任前は住友商事の商業施設開発を指揮していた高野氏に、住商アーバン開発が手がける改装や住商と進める新規開発、PMの適正なあり方について聞いた。

―― 足元の状況から。
 高野 アパレル不振や開発競争激化で、売り上げが数%程度前年割れしている施設もあるが、店舗の入れ替えや改装など、環境の変化に対応した細かな投資を毎年行った施設は、その効果が出ている。

―― 「テラスモール湘南」について。開業時と商環境が変わっている。
 高野 当初テラスモールは400億円の売り上げの事業計画だったが、15年度は540億円に達した。平日と土休日の差がなく、結果、見込みより上振れた。周辺に大型RSCが複数開業したが、その影響は軽微だ。だが、お客様に飽きられないようにするため、開業6年目を迎える今年、大規模リニューアルとして店舗を大幅に入れ替え、年明けから来春にかけてオープンする。

―― アパレル店舗を減らして飲食店を増やすとか。
 高野 極端に減らすことはしない。元々飲食店を全体面積の1割強に絞っている。カフェを増やしたり、好調なフードコートも一部店舗を入れ替えるが、“またあのテナントを入れた”というような安全策は取りたくない。湘南らしいテナント、郊外モールにはまず出店しないアパレル誘致にトライしたい。

―― それ以外で改装は。
 高野 18年度に「ミウィ橋本」(相模原市)と「御影クラッセ」(神戸市)、19年度は「セルバ」(仙台市)の改装を予定する。
 00年にオープンした「晴海トリトン」(東京都中央区)はオフィスビルの商業ゾーンのため、オフィスワーカー需要に応える店舗を配置してきたが、周辺にタワーマンションが続々誕生し、土日の来場者が増えていることから、地域住民向けを強化した。コンビニと書店のコラボ店や、雑貨の「プラザ」の新業態を誘致したところ、感度の高い層の来館が増えた。オフィスサポート機能を維持しながら、五輪を意識してどう変えていくかが課題だ。

―― 新規計画は。
 高野 埼玉県の所沢駅周辺エリアで、駅ビル開発と、西武鉄道車両工場跡における商業モール開発を計画している。西武鉄道グループや住商と、基本プランの検討を進めている。

―― 所沢のポテンシャルをどのように見ていますか。
 高野 5km圏内に競合する施設がなく、所沢駅周辺には高層マンションが相次ぎ建設されているが、買い物は池袋に流れている。この流出を止めたい。駅ビル開業は、1期が来春、2期が20年ごろとなりそうだ。商業モール開業はそこから数年後の予定。西武百貨店が入居する商業施設「ワルツ」に加えて、駅ビル、商業モールの誕生で、所沢駅の商業は充実する。行政や住民からの期待も大きく、個人的には「所沢ルネッサンス」を起こしたい。
 さらに千葉県松戸市の松戸北部市場跡地の商業開発を住商と共に行う予定である。同地も期待できるマーケットで、シネコンなどのアミューズメントや、フィットネス、クリニックなどのヘルスケア機能導入を予定している。

―― 働き方が変わっています。貴社運営の施設では。
 高野 CSは言うまでもないが、ESも手を抜くわけにはいかない。分煙、窓の有無、マッサージ機の必要性に至るまで、私たちは従業員休憩室はどうあるべきかを議論してきた。畳があって横になれる施設もある。費用がかかるため簡単ではないが、館のオーナーにご理解いただくべく、ご説明申し上げていきたい。
 また、当社がロールプレイングコンテストを主催し、これを通じて販売のスキルアップを図るなど、お預かりした従業員が働ける環境や、かつ働くノウハウを提供することで、CS、売り上げ、そしてNOI改善につながる環境整備を重視している。

―― 今後の抱負を。
 高野 私が赴任してからは住商グループ物件については運営受託から「経営受託」に変え、NOIを高める投資提案をしている。開発のマーケティングから事業計画、既存施設のリノベーションを熟知しているからこそだ。外部受託案件においても、オーナーと協議しながら活性化を進めており、グループ物件でのノウハウを積極的に活用し、ご評価いただいている。
 さらに第二種金融商品取引業の登録を完了した。商業施設の売買は商業施設に精通した者が関わるほどスムーズ。バリューアップにおけるテナント、MD構成や契約期間などを踏まえた提案、仲介後のPM受託対応など、ビジネスを広げていきたい。

―― 目指すところは。
 高野 商業施設は今や社会インフラであり、いかに維持、繁栄させていくか。そのためには運営や経営に携わり、かつテナントとお客様との接点を持つ立場の者がキーとなる。PM、BMの経費をカットする、コストダウンによる短期転売型の投資を続けると、一時的に販管費は抑えられるが、館は間違いなく痛み、結局バリューが下がり、社会資本のダウンになる。
 当社ならカットできる部分、できない部分を諮りながら、BMと具体的に話し合える。テナントに対しても、『そこから先はあなたのリスクだからお好きなようにやればいい』というのでは疲弊していく。相談に乗ってウィンウィンの関係を構築することが重要だ。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2193号(2017年5月16日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.225

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