商業施設新聞
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No.608

祝! 成城石井の創業90周年


若山 智令

2017/5/30

 “高級・高品質スーパーマーケット”と聞いてどこの店をイメージするだろうか。筆者は、このジャンルを確立させ、トップランナーとして市場を牽引する「成城石井」だと答える。その(株)成城石井は、2017年に創業90周年を迎えた。90年前、東京・成城の食品店としてスタートした同社は、今や国内を代表するスーパーマーケットの一つに成長した。また、去る4月27日には90周年記念事業として旗艦店の「成城石井 池尻大橋店」を東京都目黒区にオープン。今後も仙台に東北初出店を計画するなど成長の勢いは止まらない。

 成城石井は、1927年2月に東京都世田谷区で果物やお菓子を扱う食品店として誕生した。その4年後にはスーパーマーケットとして生まれ変わり、現在の礎を築いていった。それからは駅ナカ、路面、デパ地下など多様な立地への出店を進め、13年3月に100店を達成している。ちょうど100店達成したころ、『商業施設新聞』では“100店達成インタビュー”と題して、原昭彦社長に取材をさせていただいた。

 成城石井の転機について、原氏は「1997年にアトレ恵比寿店、翌月にルミネ大宮店と、続けて駅ナカにオープンしたのは一つの転機だったと思う。それまでは路面店がほとんどだったが、成瀬店(東京都町田市)を見たデベロッパーの方に、『このフォーマットが駅にあったら面白い』と声をかけてもらった。このころから、路面店中心だった出店を駅ナカへ切り替えていった」と話している。この駅ナカで成功を収め、ノウハウを蓄積した結果、今日の成城石井ができあがったという点で、この言葉は非常に印象に残っている。

90周年記念事業として開業した旗艦店の「池尻大橋店」
90周年記念事業として開業した
旗艦店の「池尻大橋店」
 そんな同社の新たな旗艦店となる「池尻大橋店」が4月27日にオープンした。当日はプレス向け内覧会に参加した。同店は約140坪に約1万種類を展開し、成城石井で扱うほとんどの商品が集積しているという。新たな取り組みとして、同社が13年12月にオープンしたワインバーのチーフシェフが開発したピザの販売を行っている。また、お酒、特にワインの取り扱いは全店最大級にもなるといい、成城石井のこだわりがたくさん詰まった店と言える。

 前述の100店達成インタビューで、今後の目指す姿を尋ねた際、原氏はこう答えている。「高品質な商品を、お買い求めしやすい価格でお客様に提供することが理想である。また、ニーズを作っていくという意識を持たなければならないし、売れるものを自分たちで作り出す努力をしなければならない」。現時点で、この理想は形になっていると思う。少なくとも、池尻大橋店ではそれを感じることができた。現在、店舗数は150店(直営、フランチャイズ、飲食店合計)を超えたが、未進出であった東北エリアでも6月、仙台に新店をオープンする予定で、さらに成長を目指す。
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