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第61回

エノテカ(株) ワインショップ事業部 販売推進部 開発担当 課長 佐々木俊浩氏


ワインショップで日本一の店舗数
百貨店・駅ビル軸に約60店を展開

2017/1/17

エノテカ(株) ワインショップ事業部 販売推進部 開発担当 課長 佐々木俊浩氏
 新しい集客ツールとして「食」がクローズアップされ、「飲食」や「食物販」要素を強化するアパレルブランドや商業施設が増えている。カフェはもちろんのこと、スイーツ、ベーカリー、グロサリーやワインショップなど多種多様な食要素を導入することで、「衣」にプラスアルファを加え、ライフスタイルを提案するのが潮流だ。ワインショップ・エノテカを全国に約60店展開するエノテカ(株)(東京都港区南麻布5-14-15、Tel.03-3280-6388)も従来強かった百貨店立地に加え、駅ビルやファッションビルといった新しい立地でも店舗網を広げている。さらに新業態の構想もあるという。同社の今後の展開について、ワインショップ事業部 販売推進部 開発担当 課長の佐々木俊浩氏に話を聞いた。

―― 貴社の概要から。
 佐々木 ワイン専門輸入商社で、ワインの買い付けから輸入、卸、通販、ワインショップを一気通貫で手がけている。国内でエノテカのみが販売を許されているワインがほぼ全商品を占め、圧倒的な商品力と知識を強みに業績を伸ばしてきた。

―― 店舗展開について。
9月にオープンした「エノテカ近鉄上本町店」
9月にオープンした「エノテカ近鉄上本町店」
 佐々木 1989年に1号店の路面店を東京・広尾に開店。そこから断続的に出店してきたが、2000年前後から多店化を加速し、年間5~10店程度と定量的に出店を重ね、現在国内に約60店とワイン専門店として日本一の店舗数を誇る。百貨店、路面店、SC、アウトレットの4形態で展開し、特にこの1~2年、食の専門性を高めたい駅ビルやファッションビルから出店オファーが増えており、これまでになかった立地にも店舗網を広げている。

―― 主軸は百貨店・駅ビルです。
 佐々木 ワインは「コンサルティングセールス」の要素が強いことから、当社では接客に比重を置き、他社と比較しても人員を厚く配置し、高いホスピタリティを提供している。当店の主要ターゲットは30~50代で、接客面、客層面でも親和性が高いことから、百貨店立地が約半数以上を占め、主要都市の百貨店を網羅している。ワインは深い専門知識も必要であるため、百貨店が運営してきた自前のワイン売り場を当社に任せたいという要望も増えている。これまで同様に、百貨店への出店は地方も含め継続していく。

―― 4月の広島三越店のリニューアルが印象的ですね。
 佐々木 98年に開店した同店はエノテカで3番目に古い店舗で、もともと1階にショップがあった。今回、2フロアにまたがっての増床オープンとなった。16年ぶりとなる地下1階の食品フロア大改装の一環で、地下の店舗はバーカウンターを軸とした。ここでは、食品フロアの他店の商品を持ち込み、ワインと一緒に飲食することも可能だ。テナントの枠を超え、さらにライブ感もあると好評で、体験・体感要素の強い、一歩先の食品フロアを提案する核を担っている。
 なお、ワインを試して購入していただける「バーカウンター」は理想的な機能で、約半分の店舗で導入している。同機能は、デベロッパーからも要望の高いコンテンツであることから、今後もこのような形態での出店を積極的に提案していきたい。

―― 他業種とコラボした店舗も好調です。
 佐々木 札幌ステラプレイス店はベーカリーの「PAUL」と大型区画を分割した店舗で、ワインと相性の良いベーカリーと隣接することで、シーンに広がりが生まれた。
 また、路面店の横浜元町店はドイツの刃物・調理器具メーカー「ヘンケルスツヴィリング」の日本初の路面店と隣接オープンし、食物販、食雑貨でワインのある食卓を提案している。これまでになかった切り口で新しい客層を獲得、今後、このようなコラボ型の出店形態も模索していきたい。

―― 駅ビル出店について。
 佐々木 これまではどの立地においても標準面積20坪程度の店舗を出してきたが、ワインの裾野が広がりをみせ自分でワインを選ぶ楽しみを知る人が増えてきた中、さらにプラスワンを得られるような新しい形態を「駅ビル立地」で模索している。催事形態でJR改札付近のエキナカ・エキソトといった駅立地にテストロケーションを行い、結果も出ている。催事では5坪程度で展開し、ワイン周りの食材・食雑貨と組み合わせ、これらを入り口にワインの販売につながっていく動きが頻繁にあった。
 「駅ビル」立地において「食材」+「小型」のライフスタイルを演出する新しい切り口での出店も、この結果を受け検討したい。来期から主要ターミナル駅を中心に「駅ビル」出店を進める予定だ。

―― 今後の出店について。
 佐々木 14年は10店をオープンし出店攻勢をかけ、15年は6店、16年は4店を出店した。17年も同数程度をオープンする。関東は引き続き強化していきたい立地で、17年4月に開業予定の「GINZA SIX」への開店も控えている。
 「GINZA SIX」のB2フロアへの出店を予定しており、約80坪というエノテカショップにおける最大級の規模の店舗となり、フラッグシップショップの位置づけで出店する。「アートとワイン」というテーマに基づきワインに関連したアートを鑑賞できるカフェスペースを展開し、日本一のSKUを誇るヴィンテージセラーを設け、エノテカのブランドを最大限表現しながら、名実ともに日本一のワインショップを目指す。
 また、現在オファーの多いSCにおいての展開では、ブランド感やホスピタリティを表現できる場所に厳選して出店していく。将来的には100店体制としたい。

(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2172号(2016年12月13日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.207

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