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FPD市場を読み解く3つの注目点


~「第32回IHSディスプレイ産業フォーラム」開催(2)~

2017/1/6

シニアディレクター 謝勤益氏
シニアディレクター 謝勤益氏
 大手調査会社のIHSマークイットは、1月25~26日に国内最多の受講者数を誇るFPD市場総合セミナー「第32回 IHSディスプレイ産業フォーラム」を東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)にて開催する。本稿では、その注目の講演内容を登壇アナリストに全3回にわたって聞く。第2回は「FPD市場総論」を担当するシニアディレクターの謝勤益(デビッド・シェー)氏に話を伺った。


 ―― 2017年FPD市場の注目点は。
 謝 (1)液晶パネルの価格、(2)有機EL、(3)フォックスコングループのテレビ戦略の3つだ。
 (1)については、16年後半からテレビ用パネルの供給不足が顕著になり、サイズによって異なるが、6~12月は総じて30~50%値上がりした。だが、引き続きテレビメーカーの購買意欲は強く、17年前半には新たに稼働する工場がないため、パネル価格は高止まりが続く。供給にゆとりが出てくるのは、新しい生産能力が寄与してくる17年後半になるとみている。

 ―― 液晶テレビの出荷台数見通しは。
 謝 16年から台数は伸びないが、平均サイズの大型化で需要面積が伸びる。40型を生産していたサムスンディスプレー(SDC)の7G工場が閉鎖されることに伴い、40型より大きいサイズの需要が増える。17年は43~55型への需要が高まり、なかでも43型と65型の需給がタイトになりそうだ。16年の面積ベースの成長率は7%になる見通しだが、大型化が進む17年も同程度になるだろう。

 ―― (2)については。
 謝 IHSの調査では、16年7~9月期のスマートフォン(スマホ)用有機ELの出荷は1億台を超え、過去最高になった。この99%をSDCが占めている。だが、中国メーカーの出荷も初めて100万台を超え、想定以上に立ち上げが早い。17年に中国で生産能力が追加されれば、スマホへの搭載がさらに加速するだろう。

 ―― アップルもiPhoneに有機ELを採用するといわれています。
 謝 SDCがサムスンとアップルへの供給を優先すると、中国スマホメーカーは有機ELの安定調達がさらに難しくなる。複数社から調達したい中国スマホメーカーにとって、天馬やBOE、EDOらの供給能力が高まるのは渡りに船だ。中国製の有機ELが中国スマホに搭載されるケースが増えるはずだ。

 ―― (3)では、フォックスコン+シャープ+イノラックスの垂直統合がどのように進むでしょうか。
 謝 シャープの黒字転換、中国テレビ市場でのシャープブランドの強化・拡大、パネル増産への新規投資という3段階で進むとみている。
 すでにシャープは、現在の高いパネル価格も追い風にして、16年7~9月期から全社ベースで黒字に転じた。フォックスコンは今後、イノラックスとシャープの生産能力を1つに考え、OEMビジネスを拡大し、得意とするテレビの組立で原価低減を推し進め、中国市場でシャープブランドのテレビの存在感を高める戦略に打って出てくる。

 ―― 他のテレビメーカーにも影響しそうですね。
 謝 シャープは堺10G工場からハイセンスやサムスンにテレビ用パネルを供給していたが、今後はフォックスコングループへの内製供給が上がるため、テレビメーカーはシャープからパネルを調達しにくくなる。実際サムスンは10.5G工場を建設予定のCSOTと資本提携を結んだ。
 この次の戦略として、有機ELおよび液晶工場への新規投資が本格化する。17年初頭に具体化する可能性もあると考えている。

 ―― 17年もFPD業界は大きく動きそうです。
 謝 これまでは中国メーカーが日台韓メーカーのフォロワーだったが、中国のアグレッシブな投資によって、大型液晶にとどまらず、LTPSや有機ELに関しても、17年以降は中国メーカーが他国に影響を及ぼすようになる。10.5G工場は現在、中国で2つの案件が具体化しているが、検討中の新案件はこれだけにとどまらない。まだ浮上してくる。一方、日台韓では旧ラインの閉鎖がさらに進む。日本が強みを持つ製造装置や材料分野でも、中国市場を中心とした展開がさらに加速するはずだ。

(聞き手・編集長 津村明宏)



「第32回 IHSディスプレイ産業フォーラム」の詳細情報はセミナー事務局(E-mail : technology.events@ihs.com、Tel.03-6262-1824)まで。
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