商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第53回

(株)OPA 代表取締役社長 奥田晴彦氏


“新生OPA”で都市シフト担う
多様なサイズで出店を強化
17年に水戸と高崎が開業

2016/11/15

(株)OPA 代表取締役社長 奥田晴彦氏
 (株)OPA(千葉市美浜区中瀬2-6-1、Tel.043-213-3330)は、3月にイオンリテール(株)のビブレ・フォーラス事業を承継し、イオンモール(株)100%子会社の“新生OPA”として生まれ変わった。イオングループが掲げる「都市シフト」を担うべく、既存店を強化しながら新たな業態の開発も行い、大中小の多様なサイズで出店を進める。新生OPAの戦略や今後の事業展開、新規出店や店舗活性化などについて、同社代表取締役社長の奥田晴彦氏に話を聞いた。

―― まずOPAの役割から。
 奥田 3月からビブレ8店、フォーラス4店を承継し、既存OPA9店を合わせた21店をメーンに、地域密着型ショッピングセンター(NSC)のステーションパーク3店、PMやコンサルなどを含め計27店を展開、運営するデベロッパーとして新たなスタートを切った。イオンモールは広域型ショッピングセンター(RSC)、イオンタウンはNSC、OPAは都市型(都心、地方都市含む)と、グループ内でのすみ分けはできており、立ち位置は明確だ。
 イオンモールの100%子会社となったことを機に、当社は新会社へと生まれ変わった。ブランディングはこれからマーケットを通じて発信していくが、何を発信して成長のエンジンにしていくか、今まさに検討を進めているところだ。それと合わせて、店舗のてこ入れや活性化についても協議をしている。設備投資も拡充し、これまでなかなかできなかった大規模活性化、新規出店は非常に速いスピード感を持って行える。

―― アパレルが苦戦するなか、MD構成をどうするか。
 奥田 個人的にMDは大きな問題だと捉えている。当社はこれまで、どちらかと言うとアパレル偏重型の構成となっていて、売り上げの65~70%がアパレル物販だ。一時はトレンドに乗って若年層を中心に売り上げを伸ばしてきたが、2009年くらいからトレンドが変わり、OPAは尖った絞り込んだテイストでやっていたため、その分あおりを受けた。
 こうした背景を受け、今後は「ライフスタイルの提案」「コミュニティ化」を軸に開発を行っていく。この2つのかけ算で新しい消費が生まれると思う。ライフスタイルの提案は時代を問わない。その提案に人が集まり、そこがコミュニティになるという考えを軸にしていきたい。

―― 新業態の開発は。
心斎橋OPAは新館地下2階にスイーツエリアを整備
心斎橋OPAは新館地下2階に
スイーツエリアを整備
 奥田 こだわりを持っていながら、シンプルで合理性を追求するなど両極端なものが求められていて、こうしたニーズに応えるべく、よりこだわりを求める人に向けたOPAのハイエンドな店も必要だと感じている。
 一方で、例えばアクティブ(スポーツ)、デリシャス(食)、ヘルシー(健康)、リラックス(癒し)、ビューティー(美)など絞り込んだテーマで展開する小型コンセプト店も加え、ハイエンド型、既存OPA(ライフスタイル提案型)、小型の3つのバリエーションで進めていきたいと思っている。規模としては、ライフスタイル提案型が4000~8000坪の多様な展開とし、ハイエンド型は最大3000坪程度、小型は1000~3000坪程度を想定している。
 そして、アクティブをテーマにした小型店が11月、東京・原宿に開業する。本来は複合型となるが、同店は約400坪と面積が小さいのでニューバランス1社のみの入居とした。

―― 水戸、高崎への出店も決まっている。
 奥田 17年春に水戸(茨城県)、同年秋に高崎(群馬県)が開業する。両店ともライフスタイル型になるだろう。高崎は、1階にフード(食品スーパー+食物販)を導入する。食からエンターテインメント、サービスまですべて揃う。
 また、高崎へメイドイン東京を持っていきたくないと考えている。地方にも根強いセレクトショップなどもたくさんある。そういったところをきちんと掘り起こして、発信しそれを地方の活性化にもつなげていきたい。メイドイン東京を地方にばらまくのではなく、OPAのローカリゼーションを展開していきたいと思う。

―― 新店のブランドは。
 奥田 (OPA、ビブレ、フォーラスの)3つ残すか、1つ残すか、全部なくすか様々な選択肢がある。これも今議論しており、16年度内(17年2月期)に決める。新しいものをつくるためには、今までのものを捨てるという可能性もあるし、捨てる勇気も必要だろう。新しいものを考えるときには、あえて捨てるという行為も重要になる。活性化については、今年度も一部行っているが、来年度から本格的な投資を行う。改装は段階的に数年かけて行うやり方になるだろう。
 そして、ここからアパレルに特化して、業績が劇的によくなるというのは極めて考えづらい。やはりアパレルの構成を下げざるを得ないし、下げるべきだと思っている。だが、こうした状況でもリーズナブルであり、バリュー(価値)があるところは業界を牽引している。リーディングカンパニーと差別化を図る際、足りない部分に何を足すか、そこが勝負になる。

―― 最後に抱負を。
 奥田 新生OPAとして、今までと違う価値をマーケットに提供していく。そのためには、ファッションデベロッパーからライフシーン、ライフスタイルを提案するデベロッパーに変わっていかなければならないと思っている。
 また、16年度からの中期的な経営計画において、新規出店と既存店活性化の促進により、業界トップクラスのファッションデベロッパーを目指したい。これを達成するため、親会社イオンモールからの物件供給、資金面などのサポートを受け、毎年複数店舗を出していく必要があるだろう。

(聞き手・編集長 松本 顕介/若山智令記者)
※商業施設新聞2164号(2016年10月18日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.206

サイト内検索