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No.27

パレスチナ自治政府など、「パレスチナ・ビジネスフォーラム」開催


2016/3/8

アビール・オウデ長官
アビール・オウデ長官
 日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JAICA)、パレスチナ自治政府主催による「パレスチナ・ビジネスフォーラム」が2月15日に東京都内で開催された。日本も開発を支援したジェリコ農産加工団地(JAIP)を中心にパレスチナの現状などを紹介し、投資や進出を呼びかけた。

 今回のセミナーは、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領の訪日に伴って開催された。JETROとJAICAは世界各地でパレスチナのセミナーを開催しており、今回の東京のセミナーが総仕上げとなった。

 セミナーでは、まずJETROの平野克己理事が開会の挨拶を行い、続いて、山田美樹外務大臣政務官が挨拶し「今回のセミナーが、パレスチナへの日本企業進出の足がかりとなれば幸い」とコメントした。

 続いてパレスチナ自治政府国民経済庁のアビール・オウデ長官が、「日本の支援で、日本とパレスチナの民間セクターをつないでいただいていることに感謝している」と挨拶し、「パレスチナは新興国なので、成長の余地がある。人材、金融、ビジネス、投資の環境は豊かなものがある」とコメント。JAIPについても紹介した。

 基調講演では、パレスチナ工業団地・フリーゾーン庁(PIEFZA)CEOのアリ シャース氏がJAIPやパレスチナでのインセンティブなどについて説明した。

 JAIPがあるジェリコ市は、世界で一番古い都市といわれており、海抜がマイナスとなっているため、肥沃な土地がある。JAIPは、開発面積は61.5万m²で、ステージ1は39社が入居しており、ほぼ全部で立地が決定している。現在、2工場が生産を開始しており、6社が工場を建設中である。ステージ2の区域では56%の入居率となっている。中東では珍しく給水設備が完備されており、500m3の水を確保している。オンサイトの給電設備、光ファイバーによる通信網なども整備。管理棟やプレハブ製の倉庫なども設置されている。

 立地に関しては、PIEFZAによるワンストップサービスを実現しており、さらなる拡充を進めている。

 アリ シャース氏は講演の中で「ぜひパレスチナまでおいでいただいて投資をしていただきたい。パレスチナ国内需要だけでなく、15のフリートレードゾーンを活用し、パレスチナを中東進出の第一歩として使っていただきたい」と語った。

 個別セッションでは、まず「パレスチナの経済状況について」のテーマで、JETROテルアビブ事業所の奈良弘之所長が講演。JETROはテルアビブからパレスチナを見ていることを説明し、パレスチナから日本が一番輸入しているものはビールであること、イスラエルとパレスチナの人が接する場所には危険性があること、物価は日本と同等かそれ以上であることなどを紹介した。パレスチナ人は英語を話し、時間を守ることや女性の社会進出が進んでいるなど優秀な人材が多く、労働力が豊富であると説明。また、有望な産業として、IT産業、製薬、医療機器などを挙げた。

 続いてJAICA専門家の松澤猛男氏が「パレスチナ 民間セクターの課題と可能性」のテーマで講演し、JAPIの充実したインフラを活用してビジネスを展開することを推薦した。JIPAでは、浄水、下水、廃棄物、通信サービスが整備されており、パレスチナ初の太陽光発電も設置されている。また、国有地を49年リース(延長可)という形式をとっており、これを担保とすることも可能ではないかと語った。

 最後に、パレスチナ インフォメーション テクノロジー アソシエーション会長のヤヒヤ・アルサルカン氏が「パレスチナIT産業の現状・展望について」のテーマで講演し、パレスチナのIT産業は、パレスチナ市場だけをターゲットとするのではなく、パレスチナを経由してグローバルに展開していることなどを紹介した。
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