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聖マリアンナ会理事長 赤尾保志氏に聞く、新潟薬科大学と包括提携


多彩な医療ソリューションを開発、重粒子線治療・中性子線治療・iPS細胞活用に期待

2015/8/25

赤尾保志氏
赤尾保志氏
 一般財団法人 聖マリアンナ会(川崎市宮前区有馬4-17-23、Tel.044-852-2373)は、東横惠愛病院、医学研究所(所在地同じ)を核に地域医療ネットワークの構築に取り組むとともに、メディカル事業をサポートする各種ソリューションの開発、さらにはメディカルコマース事業の開発も進める、医療・福祉業界にあってユニークな存在だ。こうした多彩な取り組みについて理事長の赤尾保志氏に話を伺った。

―― 貴会の概要から。
 赤尾 1941年開設の東横医院が始まりで、現在では、メディカル事業として、東横惠愛病院、サービス付き高齢者向け住宅いちごホーム、いちごクリニックを運営。病院は、精神科・心療内科の一般外来のほか、児童・思春期外来といった専門外来を手がけ、297床の入院施設を備えている。今後の医療の在り方は「出向く医療サービス」と認識し、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションの開設を準備している。
 メディカル事業のほか、メディカルサポート事業、メディカルコマース事業を展開している。
 私は、20年以上にわたり機械メーカーに勤めながら、30代の頃から聖マリアンナ会の評議員を兼任し、12年前より理事長となった。

―― メディカルサポート事業について。
 赤尾 当会グループのミッションである、地域医療ネットワークの構築と質の高い医療サービスの提供、デジタルネットワークを活用した医療分野におけるIoTの実現、“生活者”のための暮らしやすい生活・経済ネットワークの構築への貢献を遂行するうえで、必要な事業・サービスだ。これまでにカード決済、医療カード、生体認証、血液検査によるうつ病診断、病院ホームページデザインといったソリューションを開発し、当会の施設はもちろん、医療機関を中心とするお客様に提供している。

―― 具体的な事業内容の紹介を。
 赤尾 カード決済は、三菱UFJニコス(株)のクレジットカード、デビッドカード、電子マネーに対応したクラウド型マルチ決済システムの導入に際しては、全国医療機関に対してカバーする代理店となり、加盟店契約をサポートする。うつ病診断は、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)が開発した血液バイオマーカーによるうつ病性障害の血液による有償検査だ。
 医療カードは、個人単位での未病・予防、健康管理の促進にかかわる様々なシーンで利用が可能な、非接触ICカードを準備済み。生体認証は、(株)モフィリアの指静脈認証技術を活用したものを取り扱いつつ、コード番号(暗証番号)を含む、目の虹彩、指紋、顔についても準備中である。また、メディカルデザイン(株)と連携し、病院ホームページの企画、デザイン、実装、運用をサポートしている。
 メディカルコマース事業は、東横惠愛病院の売店運営のほか、当会が事務局となって複数の医療機関による共同購買の仕組みを確立。このほか、サプリメント販売も計画中だ。

―― 日本の医療産業について展望を。
 赤尾 日本の重粒子線治療は今後、10~15年は世界と伍していけるとみている。また、新しく研究中としている中性子線治療も期待している。医薬品分野は海外の大手企業の台頭が強く、日本勢は劣勢である。創薬なら大きな可能性があり、iPS細胞利用もその1つであろう。海外が注目している日本の漢方薬も有望だ。医工医薬の連携がますます重要となる。当会は、学校法人新潟科学技術学園新潟薬科大学と包括連携に関する協定をこの3月に締結しており、先方の理事長であり学長である寺田弘氏とは、「何かしよう」と意気投合し、企業を交えて創薬開発など様々な事業プランを具体化しつつある。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉/編集長 倉知良次)

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